「たれ義太」なんて事言うんでございますけども見台か何か 持ちながらカ~ッと 顔を紅潮させるってぇとまぁ 追っかけですね 「どうするどうする」なんていうふうな。 一回や二回は つきあうんでございますけどもね番度となってくるってぇと聴くほうがこりゃ もう 本当に 地獄のような責めでございますからね。 誰だよ? 今朝の味噌汁をこしらえたのは。 今日は 義太夫の会があるって分かりそうなもんだろう。 それを あんな 本当に 辛い味噌汁を こしらえるから喉にきた こっちは。
『私たちはお呼ばれが無いという事は何か しくじりでも致しましたでしょうか?』ってそういう 嫌み 言われたんだけど今日は 一軒 漏れなく回ってくれたか?」。 ガタガタ ガタガタ 震えててええ まあ~ こうやってね着物を出せ 一番いい着物を出せ』ってんでね ええ?それを まぁ 着ようとしたんでござんすけどもねあの お年でございましょう?で 熱がありますからね前が合わさらないんですよ。 金物屋 どうした?」。 「金物屋さん 行きましたよ。
それも なんですよ『無尽の会ってぇのは何時からですか?』っつったらね金物屋さんのほうでもって『義太夫の会は何時ですか?』と」。 提灯屋は どうした?」。 「提灯屋さん。 提灯屋さん 行ったら提灯だらけなんですよ」。 「そりゃ そうだろう提灯屋なんだから」。 それから 旦那様ね牛蒡 これが また難しいんだそうですよ~」。 で 包丁を こっちに持ちましてね旦那様 旦那様こっち側こうやって 回すと同時にこっち側 すごく サッサッサッサッ」。
「そりゃ いけません そりゃ!それは 旦那様何を考えてるんですか?ええ? 店の者はみんな 修業中ですよ?それを 旦那様のそんな 義太夫を… そんなそれは 天が許しても私が許しません」。 「今日は 義太夫の会があるつったらな 陣頭指揮に立って率先して 自分がやらなきゃいけないんだよ。 ね?旦那様の義太夫を あぐらをかいて聴くなんて訳にいかないからってんでもってね 今病院のほうへ行っておりまして」。 ええ 旦那様の義太夫は 大変ね~悲しゅうございますよ。
何か あるのかい?』ってぇから『今日は 義太夫の会でございますよ』ったら『あ~ そうかい。 「何だい? 私の義太夫とお前の所の 年を取ったおふくろと どこがどう 兼ね合いがあるんだ?」。 「何かい? 私の義太夫 聴くとお前が死ぬのか?」。 ええ?義太夫が 分から… 私…。 義太夫はね本を素読みにしても悲しいもんだ。 茂造さんが また長屋を グルグルっと 回って…。