今では 九尺二間の長屋暮らしでございますがそれでもやめんそうでございましてもう 毎晩毎晩 あっちへ寄ったりこっちへ寄ったり一人で 八人歩きというやつで。 ♪「酒飲み 酒 飲まずにいられるものですか ダガネ」♪「ちっとやそっとのご意見なんぞで」♪「酒 やめられましょか ダガネ」♪「あなたも 酒飲みの身に」親父 寝の お母はん 起きやで」。
大阪中 まる焼けっちゅな火事 無いのんかいな。 飯を食うたら 大の字なって「肩 揉め 腰 撫で 足 さすれ」無理難題を言いまして寝てしまいますが。 さぁ 次の日の朝向かいの 酒飲み極道は 朝 起きて仕事 行くんでございますがこの腕力極道これが 朝 起きようとしません。
坐摩の前で 心中が?南無阿弥陀仏」。 その 坐摩の前の心中というのが耳に入ったもんですからこの腕力極道布団 ベ~ッと はねのけてタタタタタタタ~ッと 行きよった。 坐摩の前へ心中 見に行ったんやないかい」。 「坐摩の前で心中があったんか?」。 代われるものなら代わってやりたい』 な?『坐摩の前の心中で南無阿弥陀仏』と」。 飯 食べやるか?今日は お前さんの好きな生節と高野豆腐 炊いてあるで。
ここに 金盥 持ってきてますで私が これを 叩いてな『火事や 火事や』と大きな声で言いますで佐助はん 悪いけど あんたこの拍子木を叩きながら『火事や 火事や』と言うてもろたらよろしい」。 「火事やといな~火事やといな〜」。 「火事や 火事や」。 さぁ この 「火事や」という声が耳に入ったもんですから布団を パ~ッと はねのけ「お婆ん 火事は どこじゃ〜?」て。 「ウ~ッ か か か 火事は…。 ウ〜ン 火事は…」。 「火事は どこじゃ~?」。 「ウ〜ン 火事は火事じゃい」。
「おい 火事や。 よっしゃこの道具箱は 俺に任しとけ~。 お前が早うせんさかい見てみいな訳の分からん奴飛び込んできてからに道具箱持っていきよったやないかいなもう 仕事 行かれへんがな何をするやな もう。 「火事? あのな お前 どこに火事なんか あんのじゃい?また お前の お母はんに 無理に阿呆な事 言うて起こされたんやろかい。 道具箱 どうしたんじゃい?」。 「道具箱。 心配すなもしも 火事があったって道具箱さえあったら仕事に行けるやないかい。
♪「起きゃるが目痛や~目痛や〜な〜」♪「源さん 源さん」♪「日天さんが お照らしじゃ時間 何時や知らんか」♪「こんにゃく屋も飴売り 豊年屋も」♪「皆々銭を儲けに行ってるのに」♪「いや さりとは さりとはノホホンノヨ~ホンホン あろうか〜いな」「これ これ これ これ~いつまで 寝ていなさる?早う 起きて 仕事 行かんせ~。