まあ ともかく…風呂に入れ！安政２年１２月 寅次郎は野山獄から出る事を許された。 えっ？ほかの本は ございませんか？後に 日本の尊皇攘夷運動の先頭に立つ この男…そう焦るな。 打ち払うすべを学ぶため？長州には吉田寅次郎殿がおるではないか。 吉田寅次郎？「久坂玄瑞と申します。 宮部鼎蔵様が あなた様を天下の豪傑だと称賛しておいででした。 あの吉田寅次郎様が 黒船の話とかして下さるっちゅう事ですか？お望みとあらば。
久坂玄瑞の様子は？大層ご立腹にございます。 医者の立場から論じろと言うが言われるまでもなく医者としてしか生きられない自分の立場に私自身 憤慨に堪えない。 立場を超えて国を思う気持ちを語ったのに罵詈雑言で返してくるとは失礼極まりない。 早く！ ごめんなさいの手紙！返事が！ 来ん！吉田寅次郎め！稔麿さんは 久坂玄瑞様とお知り合いですよね？それじゃあ 今は…。 私が藩医を継ぐという事ですか？江戸から「海上砲術全書」を取り寄せてもらいたいんじゃが。
困って泣きつきに来たんか？だって うちだけでは寅兄様を扱いきれません。 寅次郎に会う事も減るじゃろう。 寅次郎なら ５歳でやってのけた。 日本全国 旅して黒船まで乗って異人と会うた事もある兄が。 大体 異人を斬るとか斬らんとかそねな物騒な事 いきまいて言うんは どうなんですか？子どもじみてます！今 何と？この医者坊主！女に手は上げん。