♪~それでね 麻之助があんまり柿を盗むもんだからある時見張り番をつけられちまって。 うん?おせんちゃんは献残屋の山中屋の娘さんで今は 私の姉の嫁ぎ先旗本の太田孫九郎様のお屋敷で嫁入り前の奉公をしてるのです。 それで 一体 何の相談なんです?で 相談事とは 一体?巳之助さん何だったら この一件あんたに任せても構わないよ。 名主の跡取りは麻之助さんなのです。
え?札差の大倉屋と旗本の太田孫九郎様は昔 金の貸し借りでひともんちゃくあって犬猿の仲なのだ。 巳之助さんに頼もう。 巳之助…。 あれ?巳之助さん?ちょっと 巳之助さん!巳之助さ~ん!もう結構でございます。 大体 清十郎も吉五郎もひきょうだよ。 吉五郎さんも 名主だ同心だなどとちっちぇえ事 言ってねえで男らしく 友に力を貸してやったらどうなんだい。 という訳で この3人ようやく 重い腰を上げましたまずは お寿ず側おせんの奉公先の旗本屋敷へこれは ご苦労に存ずる。
だから お由有さんの事は大層 かわいがっている。 今日は 勝守を届けに来て下さったのではなかったのですか?え?いえいえお二方が来られるというから私は てっきり そのような話だと。 いくら お守り一つの事とはいえまんまことを確かめない事にはお由有の行く末について一度 話をせねばなりませんな。 麻之助さんがお前に聞きたい事があるそうだ。 麻之助さん。 他人行儀です。 どういう人なんですか?へ?という訳でおせんの縁談相手を確かめに孫兵衛は いかがした!?うわっ! こいつは すげえや。 前見て 前見て 前見て。
だってお父っつぁんも おっ母さんもお金持ちのお武家様との縁談を大層 喜んでいたから…。 なのに この上上方で 相場の修業となればまた 何年かは仕事ばかりになってしまう。 これまで 旦那様にして頂いた事は心より ありがたく思います。 そのやさきに上方行きの話を聞かされ…どうしたらいいか分からずぼんやりと その辺をほっつき歩いていました。 すいません!けど そうでもしなければ旦那様が 上方行きは なしにはしてくれないんじゃないかと。 彦三さんもこれから どうするのでしょう?大倉屋さんに あんなに叱られて。
おせんさんは 随分と 塩谷様を怖がっているようですが本当のところ 塩谷様がどんなお方なのかは知らない。 麻之助。 贈った品を 今更返すとは縁談をなかった事にするつもりなのか!?長い間 待たせたあげくこのような事をするとは無礼千万!どういうつもりだ!?大体 献残屋などというものは武家のおこぼれで暮らしを立てているくせに…。 塩谷様お言葉を返すようですが私どもは この縁談をお受けした訳ではございません。 それにしても 麻之助。