この世に悔いも未練もありそれを隠しもせんと腹を切る四十七士。 これまでの忠義物とは一線を画した 新しい浄瑠璃や!…あんまりおもろい事おまへんな。 …恥?大体 その「四十七士が腹 切った」て書いてある辺りあんたの調べ ええ加減や。 わしは 討ち入りした四十七人の名まで調べて…。 討ち入りしたんは 四十七人。 それで… 誰や?その四十七人目の侍は…。 「消えた四十七人目の赤穂義士」として 名高いお方です。 あの油屋はん黒田屋はんちゅうのは…。 黒田屋はん…。 これで 足りますか?黒田屋さん。
…何がや?もしかするとあの黒田屋はんが消えた赤穂義士の寺坂はんかもしれん私が…。 やっぱり 寺坂はんなんか?いや… そうと決まった訳や…慣れぬ土地で一旗揚げようという浅はかな考えが先走り名高い先生を力ずくで引き入れようとしました事今更ながらに恥じ入っております。 黒田屋九平次はんこそが四十七人目の赤穂義士寺坂吉右衛門はんやったんや!けどな 寺坂はんやとしたら腑に落ちんのや。 言うなよ…わいは 不孝糖売り 万吉や!言うんか~い不孝糖売りやと?そや。
ほかの人ではあかん!徳様やないとあかん!平野屋徳兵衛やないとあかんのや…!なんとか…できるかもしれません。 あっ! 若旦さん!あの…何が どないなってますねん?無事に お戻りになりましたね。 何で…?平野屋様には 常日頃なみなみならぬお世話になっております。 平野屋様ほどの大店をいずれ 継がれる若旦那様には一方ならぬ ご心労がおありの事とお察し申し上げます。 若輩の商売人同士ゆるりと語らいましょう。 それには平野屋はんの助けもいる。 そやさかい 商売敵の伜のはずの若旦さんを助け出さはったんや。 若旦さん。