喜怒哀楽を共に桜と生きてきたね日本人の暮らしというものが私の中にも78年分たまってますから。 2001年放送の「ハイビジョンスペシャル鮮やかに季節が流れる」。 夏から秋 冬 そして春へかすかな音や香り 指先の感触にそんな話を聞いたのが美佐子さんの一年を追う事になった きっかけでした。 今 美佐子さんの目に映っているのは濃い灰色のカーテンが引かれたような世界です。 美佐子さんの日々は いつもこの桜と共にありました。 病院で失明の危険を知らされ帰りのバスで一人泣いた美佐子さん。
目が見えなくなって春を迎える喜びを忘れかけていた美佐子さんが初めて感じ取った命の膨らみ。 美佐子さんは急いで居間に戻ります。 美佐子さんの家は 兼業農家。 夫が運転するコンバインの音を聞きながら美佐子さんは毎日 ハーモニカの練習をしています。 その雅之さんから稲刈りの手伝いに帰るという電話がありました。 この日 手伝いに出ようとする美佐子さんに 雅之さんは本当は 一緒に田んぼに出るのを楽しみにしていた美佐子さん。
夜を徹して働く事も多く家の事は ほとんど美佐子さんに任せてきました。 美佐子さんも 逸司さんに「もっと家にいてほしい」と言った事はこれまで一度もありません。 美佐子さんが完全に光を失うまでもう間もない事を2人は分かっています。 11月 会社で早期退職者の募集が発表され逸司さんの心は 揺れ始めました。 逸司さんは 一人早期退職について考えていました。 美佐子さんの事を思うとどういう選択がいいのか逸司さんは悩み続けていました。 音のない縁側で ひとときを過ごす美佐子さん。
美佐子さんと逸司さんは 2人でしだれ桜のもとへ向かいました。 美佐子さんに満開の時を知らせてくれるのは蜂が桜に群れる音。 しだれ桜と語らう美佐子さんの一年が15年前の「ハイビジョンスペシャル」でしたけれどもいかがでしたか?いや~ うっとりと…だから情報としての映像じゃなくて想像力が生んだね目を閉じても見える自然の命というのは きちんと自然界がバランスをとってくれてこの方が感じる心 聞こえる耳遠くで しだれ桜の枝が風にそよぐ音までにこの人は いざなわれて歩いていく。