あなたの想像力で無限に広がるエンターテインメント落語。 オレンジジュース 1つ。 オレンジジュースですね。 あっ 江戸時代奉公人たちは口入屋と呼ばれる人たちにお屋敷や お店の仕事を斡旋してもらっていたんだそうです。 働き手で溢れる江戸の町にはおよそ400もの口入屋がいたんだそうですが奉公先によっては大変な目に遭う人も いたようで。 なかなか 奉公人が居つきません。 新しい奉公人がやって参りましても3日も たたないうちに「旦那お願いがあるんでございます」。 また 新しい奉公人がやって来る。
う~ん… 本所割下水なんだ。 奉公人が欲しいってんだがね。 聞かなかったのかい?本所割下水ご隠居さんの独り暮らしだろ。 「ハハハッ 何言ってるだ。 人一人が人一人使う。 名前は? ああ そうか そうか。 「何 千束屋?…てえと おめえ 奉公人か?奉公人が表から入るやつがあるか。 座布団 当てるな。 おめえ 名前なんてんだ?」。 「杢助 妙な名前だな。 まあまあ名前で仕事する訳じゃねえさ。 まあ いいや 今日は初日だから骨休めだ。 まあ なあ 奉公人で何にも しねえってのは居づらいだろ。
え~ まあ そうだな『向こう三軒両隣』なんて事 言うしああ めんどくせえ!長屋みんな 掃除をしちまえ。 「今 髪床の旦那から聞いたんだけんども近々 旦様 化けもんが出る屋敷へ越すっつうのはほんとかね?」。 「暇をくれ? 何だ?人使いが荒いからか?」。 「いやいや 人使えの荒えのはもう慣れやした。 近頃 人使えが少ねえなと思ったら体の あんばいが悪くなるぐれえのもんでごぜえまして。 よく世間様じゃあ~おめえさんの事『人使えが荒え』っちゅうがね人使えが荒えんでは ねえ。
したれば 最初っからだ『杢助 豆腐と油揚げと卯の花買ってこ~』って言や 一度で済む。 それからね ヘヘヘッ。 千束屋に行きゃあ いくらでも代わりが来るって言うがもう来ねえだ。 「ああ 旦様いると邪魔で しょうがねえだで碁会所でも行ってきなせえ。 これ あの香典代わりでごぜえますんで。 「おい ちょっと待てってんだ!おい 杢助!何だよ 香典代わりなんて縁起でもねえ事 言いやがって。 ねえ まあまあ出そうな雰囲気は あるよ。 そのうちに…「う~ん… 何か ゾクゾクするな。
そういうの 分からねえかな?お前 小僧ってえからには子どもだろ?だったら 親御さんの手伝いしてねえのか? 全く もう。 洗ったか?じゃあ それを布巾で…布巾で拭くんだ 布巾。 あ〜!いや〜 杢助は力任せに たたくから痛くてしょうがなかったんだがいや~ 小僧の力だからちょうどいいや。 あの~ さっき あたし背筋が ゾクゾクっとしたんだけどあれ お前がやってんのか?あ~ そう。 お前 小僧に聞かなかったか?日が暮れたら すうっと出てきてゾクゾクなしって。
いや おめえな器用で いいんだがな体がでかくて 邪魔くさくてしょうがねえから。 あとは 小僧よこしとくれ。 で いいかい?日が暮れたら すうっと出てきてゾクゾクなしだぞ。 明日は さっさと出てこいよ!」。 今日は お前さんが当番かい?ああ そう。 あの一つ目小僧だの大入道に聞かなかったか?日が暮れたら すっと出てきてゾクゾクなしって。 アッハハハ。 江戸前ってやつだ。 アッハハハハ。 なまじ目鼻が ついてるばっかりに苦労してる女いくらでも いるんだから。