聞き手の想像力で無限に広がる落語の世界見る落語どうぞ一席おつきあい下さい。 「早退」えっ 遅刻して早退したの?正直に書き過ぎでしょ これ。 「正直者は馬鹿を見る」なんて言いますがそれでも コツコツ 頑張っているとそれはそれで いい思いをする事もあったそうで。 竹内君 正直で偉いわねえ。 正直清兵衛さんと申しましてこの方は曲がった事が大嫌い。 くず屋さんでございますが仲間から 正直清兵衛なんていう長屋の路地の奥の方から「くず屋さん くず屋さん」。
「この品は売物か?」。 「あっ 買って頂けるんですか?売物 売物 売物売物でございます」。 実はですね これ ついさっきとあるご浪人様から買いまして百文で買ったんでございます。 「正直なやつだなあ ハハハッ良助 元帳を見せおった。 「へっ! 二百両?」。 「馬鹿!なぜ お前が百文で買ったものをわしが二百両で買うんだ!」。 でも倍でございますよ 二百文で。 そのご浪人様と五十文ずつ分けられます」。 良助 二百つかわせ。
さあ 清兵衛さんこれからは しばらくの間黙って通っておりましたが「はい お売り申しましたですな」。 あたしね あだ名が正直清兵衛ってんですがね「お前はこいつと同じ顔をするなあ。 なぜ お前が正直清兵衛だかさっばり分からんなあ」。 「自分の欲望に正直な清兵衛なんでございます」。 「嫌な清兵衛だな。 「わしにとってはこの五十両より先ほど お前さんが下すった五十文の方が はるかに貴い。 「高木様 このままでは清兵衛さんが同じように 二十両千代田様に差し上げます。
さあ この茶碗が高木作左衛門のもとに。 さあ 高木作左衛門桐の箱に茶碗を入れまして「ははっ」。 お殿様 しばらく茶碗を見ておりましたが やがて「目利きがおるか?」。 しばらく見てまいりましたが顔色が さっと変わるってえと「殿 ご推察どおり まさしく井戸の茶碗 青井戸の茶碗一国一城にも代え難き名器にござります」。 高木 この茶碗 余が所望致す」。 三百両という金が高木作左衛門のもとに。 ご息女 高木作左衛門ありがたく頂戴をする」。