島田さんに 手相見てもらってて。 えっ? 島田さん手相見れるんですか?よかったら見ようか?えっ お願いします。 連れ戻しに来たはずの人が連れ戻される立場になってしまう事を「木乃伊取りが木乃伊になる」なんて申しますが。 古くから 木乃伊は薬としても扱われていたそうでそれを取りに行った人が 道中で力尽きて木乃伊になってしまう。 よく噺の方には 若旦那というのが出てまいりましてこれがまあ 一生懸命働いて親父の助けになろうなんてそういうのは一人も出てまいりませんで。 もう一人鳶頭に お願いをしてくれ』ってんだね。
「誰だ? 何だ? 飯炊きの清蔵じゃないか。 お前は飯炊きなんだ なあ。 ああ?おら 何? 何があったって飯炊いとれば いいがに?」。 ほんで 泥棒が『この野郎 いい加減にしろ』って振り返った時におらが そばにいて『はあ!』ふうふうって おまんま炊いとる方がいいのかおらが行けば すぐに ほ~れ首根っこ捕まえて くっ!連れ戻すだよ」。 「いや だけどお前 あのな いいかい?みんなが 『木乃伊取りが木乃伊』になってんの。 番頭が駄目そんで 鳶頭が駄目。 お前みたいな野暮な人間が行って…野暮ね。
「ああ ここさ おらの若旦那来とるべ?」。 「若旦那?」。 「うん 番頭とあれ鳶頭と一緒だ」。 「若旦那 若旦那お店から お使いが参りまして迎えに また参りましたが」。 若旦那 迎えに来た。 何だ そこにいんのは?番頭に 鳶頭でねえか。 『連れてまいりやす』なんつって一緒になって 真っ赤な顔して馬鹿野郎。 ♪「この巾着は 巾着は」♪「この巾着は 巾着はこの巾…」おめえが 金が足りなかったらこれ使ってくんろ。
それまでの間 一杯どうだい?」。 「帰るのな?それまでの間 一杯だけな。 じゃあ 一杯だけなら よかんべ」。 ほんではなあ 若旦那が帰ってくれるっちゅうからありがとうごぜえやす。 ほんでは 一杯頂くべ はい」。 いい! じゃ じゃ もう一杯だけ。 いや だって あたしが飲み終わってないんだからもう一杯だけ つきあっとくれ」。 じゃ じゃ…番頭さん 半分でいいからね半分でね 半分で。 じゃ じゃ もう一杯!『駆けつけ三杯』ってんだ。 もう一杯!」。
こういうところには必ず一人敵娼ってのが つくんだ。 でも 若旦那あたし うれしいんですよ。 いえ 何がって もうほんとに あたし こういう人大好きなんですよ。 ほら!手なんか もう モクゾウガニみたいでもう こういうのあたし 大好きなんです」。 片手でもって これ若旦那 持ち上げちゃうんだ。 のう? 若旦那」。 「なんて…あら うれしいな!アハハハ アハハハ アハハハ!」。 「若旦那 支度ができましたよ。