物語は 父方の曽祖父兼吉の代に遡ります。 坂本家の明治41年の戸籍を見ると福岡県朝倉郡甘木町現在の朝倉市で暮らしていた事が分かりました。 「料理坂本」を始めます。 ここにも坂本兼吉の名前が世話人として記されていました。 地元の歴史資料館で昇太郎の事について書かれた新聞が見つかりました。 また「素人名人演芸人気投票」では歌舞伎部門で昇太郎が特一等を獲得。 芸達者の昇太郎は 演技指導する立場だったといいます。 昇太郎は 22歳で「料理坂本」で働いていた女性タカと結婚します。
昭和15年 一亀は日本大学文学部に入学します。 戦後 一亀が働いた出版社である手記が見つかりました。 一亀は ソ連との国境付近にある旧満州の東安に配属されます。 本土決戦に備えるため一亀は 突然 東安から福岡 筑紫野あった通信基地に異動を命じられます。 この時一亀が作った同人誌です。 一亀が書いたのは戦争に向かう世の中に疑問を持つ青年を主人公にした小説でした。 軍艦などを造る 佐世保海軍工廠の見習工になります。 後に 総理大臣となり所得倍増計画をとなえ高度経済成長政策を推し進めました。
このころ一亀が力を入れていたのが新人作家の発掘でした。 当時 一亀は「假面の告白」で成功し周囲から高い評価を受けるようになっていました。 目をかけた新人作家たちを自宅に呼び寄せては一亀が担当し後に 直木賞作家となった水上 勉が書いた 「霧と影」。 この表情!同じように 一亀に見いだされた作家 椎名麟三は当時を こう振り返っています。 こうして一亀が育てた新人作家たちは戦後日本文学を支える作家になっていったのです。 自宅でも 電話口で作家にどなり散らしていたという一亀。