おい まだお前の番じゃない!先生… 助けてやって下さい!食べるもんも食べねえでこのままじゃ死んじまいます!お前の女房か。 ああっ! 先生 お願いします。 森さん 何とも思わないんですか?先生には先生のお考えがあっての事。 それができないのが先生だ。 案外 似てるのかもしれないな先生と保本さんは。 昨日は眠れたか?朝は食べたのか?先生 どうですか?いつも こんな具合なのか?へい…。 どこが悪いんでしょうか?先生 どうぞ。
猪之さんは どこ!?いや… その 猪之はよ…。 待て待て… いねえってよ!あんたが隠したのね!?はあ?猪之さんを出しなさいよ!おい… やめろ やめろ!やめろって!どこにいんのよ!やめろって! おい… やめろ!うるせえ! ん~!うっ! あっ…。 はい?いや… あっちにいるのがよ俺の弟分で猪之助ってのなんだがあいつが あんたにほれちまったらしいんだよ。 猪之は お孝に えらく のぼせ上がってるようだったんでここはかわいい弟分のためだと思い私が 中に入って話をつける事にしたんです。
先生…あいつ 助けてやって下さい。 藤吉からよくよく 話を聞いたのですが気鬱症になった原因としてそれ以外 見当たらないんです。 猪之助は大工の腕も買われていて男ぶりもよく藤吉という兄貴分にも恵まれて。 猪之助がほれているのは藤吉だ。 えっ?えっ?藤吉に ほれている?複雑になっているのだ。 まずは 藤吉と引き離す事だ。 これまで 猪之助がやってきた事は全て 藤吉を困らせるためだ。 しかし 心の底では藤吉を困らせる事で藤吉に甘え藤吉の心を 自分につなぎ止めておこうとしているんだ。
猪之さん!何しに来た?連れてきてくれ。 猪之の嫁にしてやってもらえませんか?いや… 猪之のやつ そのお杉って娘に ほれちまったみたいで。 例の話 どうなった?お杉の事 話つけてくれたかい?猪之…。 兄貴は そんな事なかったのか?どうなんだ?猪之…。 ここの男どもは大工仕事はてんで駄目なんだから。 何 言ってんだ?大工仕事で怪我したら病人の手当てが できねえだろ?プッ…。