落語ってやつには 愛想を尽かした。 お前さんの落語が。 東京行きの電車賃も ためないと。 えぇ~?さあ そうと決まったら 掃除 掃除!私も手伝う! 私も東京へ連れてって!寄席で 父ちゃんの落語 見るんだ!小夏…。 小夏に落語を聞かせてやるようになって小夏は喜んでくれるんだがアイツは とんでもなく怒りやがって。 親子三人で東京に行こうって。 どうやろ ここで落語会やって頂きたいんやけど。 落語会…?どうですやろ?よう。 小さい席で落語やるってのは楽しいもんだねぇ。
亀屋の大旦那に頼まれて大広間で落語会をやるんだ。 お前さんも出る 二人会だ。 俺ぁ 絶対やんねえからな!早いね。 うそだ 何人目だよ 悔しいねぇ。 八雲を継いで 落語をなさい。 あの唐変木…。 お前さんは 落語をやるために生まれてきたんだ。 違う!今の俺は… この田舎で 親子三人で…。 温泉に遊びに来てるようなやつらに落語が分かるわけねえだろうが。 いいから 一番太鼓 入れといで。 助六師匠。
とうべえン所の稲荷祭に?」。 兄弟子と思ってせっかく トリを譲ったのに。 おっ 今 兄弟子って言ったな?おめえ ついに認めやがったな!さあ シャンとして!この黒紋付 着てりゃあ誰だって 真打に見えらぁ。 師匠の紋付…こりゃ 「八雲」だけの替え紋だろう。 まあ こんなシャンとした格好すんのも久しぶりでね中には こちらを ニヤニヤ ニヤニヤ眺めてんのも ひとり ふた~り?え~ こう見えてね あたしゃ東京で落語家をやってまして。 春なら 小春 秋なら 千秋冬なら 小雪だ。