殿 江戸の町づくりに欠かせぬ飲み水探しのお役目是非 この私めに お任せくださいませ。 わしを みくびるでない!この大久保藤五郎忠行。 頼むぞ 藤五郎。 藤五郎!誰か 藤五郎を陣へ!殿 拙者のことなど お構いなく。 お殿様が大好きな菓子を毒味もさせずに安心して召し上がるのは安兵衛 よろしく頼みましたよ。 当時 江戸の地では井戸を掘っても 出る水には塩分が多くあれは?あれは お社ですね。 いかがで?見事!ははあ!藤五郎は神田明神辺りの湧き水と赤坂溜池の水を飲み水として 家康に献上した。
あ~ もう どいつも こいつも信用ならん! 腹が立つ!誰が山猿じゃ!我こそは 将軍様より じきじきに上水普請のお役を言いつかった内田六次郎であるぞ!何が普請のお役じゃ。 足を引っ張っておるのは お主じゃ!黙って聞いていれば 失礼極まりない!誰じゃい お主は!拙者は 家康公直参 大久保…。 大久保!? ははあ!あの天下の総代官様といわれた大久保長安様であられまするか!ご無礼 お許しくだされ!長安?いや そうではない。 では 小田原城主 大久保忠隣様!それも違う。
江戸市内にまで水を引いてしまったら七井の池の水が干上がってしまうかもしれんじゃないか。 おい 六次郎!普請をやめるまでわしは ここを動かんぞ!わしもじゃ!じい様まで 勘弁してくれよ。 拙者は 家康公にお仕えする大久保藤五郎と申す。 じゃが今の江戸城下には 武士以外にも多くの町人たちが住み始めておるのじゃ。 その将軍様が認めた この六次郎を信じることにする。 そろそろ先に掘り進んでいいですかいのう?藤五郎たちが 七井の池から江戸の町を目指した この上水路は神田上水と名付けられる。
なら なおさらゴチャゴチャ抜かしてても 水は通らぬ!何だ お主たちは!ここで 何を始める気じゃ!大久保藤五郎様とお見受けいたしますが。 上水路の工事は 飛躍的に速さを増した。 この~!これまではそれでも よかったかもしれませぬが市中での水道普請は殊更 念入りにやらねばなりませぬ。 何年かかっても 上水が完成しないわけだ。 主君の意向も伺い重臣一同 相談の上でなければ普通ではないのだ。 いまだ上水が完成せぬのに上様に会わす顔がないと。
江戸を よくするために俺たちの力がいるんだって言ったじゃねえか!息子や孫が ずっと自慢できるそういう仕事だって!もっと腕のいいやつを入れるっていうならそれでも構わねえ!でも 俺たちも最後まで やらせてくだせえ!大久保様は どうなんで?あんな若造の言いなりになっていいんですかい!確かに 春日は出過ぎたやつじゃが普請についての知恵技量にかけてはわしらは足元にも及ばぬ。
上水工事は 急速に進んでいった皆さん お握り作ってきましたから遠慮なく どうぞ。 まさか 伊奈殿ともあろう お人があのような者に力添えするとは落胆いたしました。 工事は 5年の歳月を経て完成のめどが立ちはるか七井の池から25キロメートルの水路に水を流す試験を行うこととなったいよいよじゃな。 藤五郎様がいなければ誰が職人たちをまとめるんですか。 六次郎と春日をこの仕事へ遣わされた時もはや拙者は 見限られたのだと思い殿のことを恨みました。