前年には長く将軍の座に就いていた家斉が隠居し大御所政治が始まるという幕府の一大イベントがありましたが…うっ…。 当主の小吉は 依然として無役のままで小普請組の貧乏暮らしです今朝は お隣の普請の音が聞こえませんね。 この年 奢侈禁止の触書が旗本にも町人にも相次いで出されました。 後に 天保の改革と呼ばれる厳しい粛清の時代が刻々と近づいていたのです♪~綱紀粛正の旗振り役でした。
旦那様がカッとなって喧嘩を仕掛けてくるのを下駄が一両もしたんですよ。 これは 何のまねです!ご直参の身で 御法度を破るとはご公儀に対する謀反も同然!何だよ!ひっくくれ!勘弁してくだせえよ ちょっと!ハハハハハ!簪も煙管も 銀流しのまがい物だ。 あ~ ひょっとして読み違えたんじゃありやせんか?贅沢品とガラクタを見分けられねえでよく取り締まりができるな!あら? 喜八親分。 その言い方 旦那様そっくり!「ますますもって 不届き」!父上 お見事でした。
放っておけばいずれは 男谷家まで巻き込まれて一家一門の大事となる!お前のような大たわけに座敷牢など なまぬるい!さあ 檻に入れ!お断り申します!虎じゃあるめえし 誰が檻なんかに。 麟太郎から兄上が激怒しておいでと伺いました。 檻に入ったら最後本当に食を絶って死んでしまいます!どうとも勝手にするがいい!これまでも 好き放題に生きてきたのだ!兄上…。
それで よろしゅうございますか?旦那様。 ガラクタ同然に求めたものだが私の目利きによればまこと 青井戸の逸品。 祝いに 赤飯を炊きましたので旦那様は 隠居名を「夢酔」と決めました。 「酔生夢死」?何も成し遂げず うかうかと一生を過ごすという意味ですか?はい。 フフフ… 小吉殿らしい。 うちの旦那様はそういうところが羨ましいのでしょうね。 え?小吉殿は 子どもの頃から無鉄砲で周りを困らせてばかりいたのに亡くなった父上のお気に入りでした。 旦那様のせいで つらい思いを…。