阿湖姫! もそっと近くに!なぜ 逃げるのだ!宗熊が侍女をお前と間違えておる。 忠清殿の事でござるか?一昨日 供を連れ城を出るのを見かけ申した。 よもや 唯之助のため高山領へと向かったというのではありますまいの?私と兄が送り出しました。 ここで うかつに攻め入れば忠清殿の正体を高山方に明かすようなもの。 忠清殿をますます窮地に追い込む事になるのではありませんか?今は 速やかに小垣へ向かい高山の様子を探るのがよろしいかと。
あ?我らが捕らえた阿湖姫は偽者であったと。 阿湖姫に悪いもん悪丸)若君!向こうに寺がある。 えっ もう?兄上さんのダチじゃん!如古坊をご存じでございましたか。 如古坊。 悪丸 寝ちゃ駄目だよ。 若君こそしっかり眠らないと駄目ですよ。 お前を助けに行くよう送り出してくれたのは阿湖姫じゃ。 阿湖姫が?お前を助けるのはわししかおらぬと。 次に若君とそういうチャンスがあったら絶対に逃さんぞと。 こ… これは絶対…あんた 高山にチクったでしょう!わしではない!白念の姿が見当たりませぬ。
高山勢と羽木勢が対陣しておる。 高山は 羽木勢を誘い込み羽木勢が早々 攻めてくるはずなかろう。 ならぬ!私が 高山勢に紛れまっすぐ羽木勢の所まで行って知らせます。 あっ! わっ わっ!唯之助じゃ!唯之助が走ってきます!兄上さん 来ちゃ駄目!ギャ~!あ~ あ〜 何やってんですか木村様!しゃんとせえ!これしきの傷で死にゃせん。 でも若君様は違う!兄上さんと一緒に羽木を守るってずっと そう思ってたんです。
若君様! ようご無事で!唯。 ええっ?黒羽城奥御殿を取りしきります藤尾にござります。 あ… 戦は?若君様は どうなった?援軍が小垣へ向かったところです。 だったら どうやって若君様を守るっていうのよ!は? 守る?唯は その足にて若君様をお守りしてきたのでございます。 あのような 暴れ河童を若君様が ご寵愛とは。 若君!控えよ!下人風情が参るとこではないぞ!よい。 えっ 本当ですか?何でも 高山が襲いかかろうとしたまさに その時大空より天兵が舞い降り羽木勢に力を貸したとか。