梅原 猛の自宅は足利義政が法隆寺に秘められた謎や柿本人麿の生涯など梅原は 劇作家としても華々しい実績を残してきた。 梅原は 能を後世に残る芸術に高めた 世阿弥の生き方に特に晩年を襲った 度重なる悲劇が最大のミステリーとされる。 室町幕府 三代将軍足利義満の下で名声を手に入れた世阿弥。 将軍 義教と世阿弥親子の間には 対立がありそこには何か原因が あったのではないか。 世阿弥はその命令を拒否したため将軍と 鋭く対立する事になったのではないか。 梅原は世阿弥親子のミステリーを解き明かし新作能にしようと考えた。
尊敬する父のために自らの命を差し出したこの日原作が出来上がった事を受けて梅原と梅若玄祥が顔を合わせる事になった。 梅若にとって全編 現代語の能の演出は初めての挑戦となる。 梅若は まず会話を中心に書かれた原作をセリフと地謡に振り分け能らしい形に整える事から始めた。 現代語に節をつけるのは梅若にとって 初めての事である。 全編現代語によるかつてない能の台本が完成した。 世阿弥に 息子の死を伝える越智役の宝生欣哉が流れを止めた。