法隆寺に秘められた謎や柿本人麿の生涯など日本史のミステリーを大胆に推理してきた梅原。 半世紀にわたって切り開いてきた独創的な世界は「梅原日本学」とも 呼ばれている。 「古事記」を題材にヤマトタケルが 土着の民と戦い日本を統一に導く壮大なドラマを描いた。 室町幕府 三代将軍足利義満の下で名声を手に入れた世阿弥。 将軍 義教と世阿弥親子の間には 対立がありただ我が子だからではなく優れた新作の能を作る力があったからだ。 しかし 将軍 義教は音阿弥を後継者にするよう命じた。
梅若にとって全編 現代語の能の演出は初めての挑戦となる。 梅若は まず会話を中心に書かれた原作をセリフと地謡に振り分け能らしい形に整える事から始めた。 将軍 足利義教の危害が 息子に及ぶ事を心配する世阿弥と妻 寿椿の会話。 梅若は 世阿弥のセリフの一部を地謡に変更した。 全編現代語によるかつてない能の台本が完成した。 それは 天河大辨財天社に元雅が奉納した立ち稽古が始まった。 それを その間尺持つような言葉であるか長くしたセリフ全体をあえて低く抑えて語り元雅の覚悟と死への不安をにじませた。