日本の話芸 落語「中村仲蔵」

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この番組のまとめ

で 後に 千両役者になりました初代の中村仲蔵がお父っつぁんが 長唄の唄歌いおっ母さんが踊りの師匠でございまして小さい時分から 仕込んでみたがどうも 唄のほうは 覚えが悪い子役で 長いこと務めておりましたが しかしこれが 15 16ぐらいになりますともう 子役では無理でといって 大人の役も まだ体が それらしくありませんのでまぁ 家柄でもあればこれが 若衆役か何かで使ってもらえるんですが家柄がないために役が つかなくなった。

これには何か もっと ふさわしい身装があってよさそうなもんだ」と思案をしたが なかなかいい考えが浮かびませんで日頃 信心をしております柳島の妙見様へ一七日の願がけを致しましてその道すがらも 油断なく帰り道 急に空あいが怪しくなりましたんで足を速めて 本所の割下水の辺りに来た時に大粒の雨がバラバラ バラバラ 降りだした。

そこへけたたましい足音がしてしぶきが飛んでくるから「何だ?」てんで 顔を上げると白塗りの定九郎が 傘を半開きに真一文字で トントントント~ンと本舞台へかかって 与市兵衛を下手のほうへ引き倒しておいて傘を いっぱいに 開いてこれを あみだに ひっ担いで濡れ鼠になって「よう やあ~」 カランと見得を切っているその姿の良さてぇなぁありませんで。 思わず 「ウ~ン」と 感心をしてもう この定九郎は二度とは できねえ。