日本の話芸・選 落語「抜け雀(すずめ)」

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この番組のまとめ

外へ出るふうでもなくさぁ一日 部屋で ゴロゴロ ゴロゴロしてお酒ばっかり 飲んで月代 伸ばし放題 髭 生やし放題汚い紋付き 着てさぁ。 一文無しじゃないのかい?」。 ね?だから『その酒の事ってすけども手前どもは 酒屋と現金取り引きしてる』。 何 言ってるんだい?一文無しなら 一文無しって何で 端から言わねえんだい?」。 毎日 毎日酒 3升ずつ 飲んで。 「絵描き?あ~ 看板とか 何とか」。

どういう訳か 家は 一文無しがよく泊まるんで」。 だから お前みてえな一文無し泊めたんじゃねえか」。 間抜けだ なんだ 道理だって何 言ってやんで何だと思ってやんだ。 主に 墨を摺らせまして浪人風の若い男は ゆっくりと筆巻きから 筆を取り出しまして衝立を 隅々までジ~ッと見入っております。 類焼の類は致し方がないが売却は 一切 相ならんぞ」。 よいな?それとな あの いつも 下でパアパア パアパア 言ってるのあれは何だ?」。 「パアパア パアパア?あ~ あれ 家の嬶ですよ」。

雨戸を ガラッ ガラッ ガラッガラガラ~ッと開け放ちます。 途端に 足元から バサバサ〜ッ。 衝立の中に吸い込まれるようにピタッ ピタッ ピタッ ピタッと収まった。 無理やり 2階へ 引っ張り上げて雨戸を ガラガラッ~朝日が サ~ッ途端に 雀が チチチチチチチチ…。 衝立へ ピタッ ピタッピタッ ピタッ ピタッ 収まった。

明くる朝 衝立の置いてある部屋には 大勢の泊まり客が今や遅しと 待っております。 その中を かの老人が…。 餌を チュンチュンチュン 漁りますとまた バサバサバサバサ…ピタッ ピタッ ピタッピタッ ピタッ。 旅人は 感嘆の声を上げてまた 草鞋を履きます。 かの老人だけは 身じろぎもせずにジ~ッと衝立を見入っております。 昔からな名人上手と言われる方はいくらも おる。 まぁ 上手と言われる人は多少の間違いは許してはもらえるがのうその 生きている雀に 見ろ休む所が どこにも 描いてない。