日本の話芸 落語「干物箱」

戻る
【スポンサーリンク】
15:51:11▶

この番組のまとめ

お前はな一旦 表へ飛び出すってぇと角兵衛獅子の食もたれじゃねえが帰りゃしねえ。 もし 帰らない事があったら今度こそ 間違いなく勘当という事にする。 ええ?しかし 親父も あれで いろいろ気 遣ってくれてんだい ね~。 親父と奉公人がいるだけだからね。 親父と 話をしたって皺と 話をしてるようなもんだからね 面白くも何ともない。 そこへいくてぇと 吉原の花魁は いいね ええ?白粉の匂いをプ~ンとさせといてね俺の膝の上へ手 載っけてね『もし 若旦那え~』なんてやつだ アハハハ。

「若旦那の身代わりを二階に置いといて若旦那が帰ってきたらそこで 入れ代わるという。 「ところが 若旦那の声色をよく遣う者がありましてなこれを 二階に 身代わりに置いておけばよろしゅうござろう?」。 「さればな貸本屋の善公なる者あれが 若旦那の声色をよく 遣いましてななにしろ 大旦那が間違えたというぐらいもんでな」。

私のことを 善公と呼びつけにできるのはここの大家さんか若旦那ぐらい…。 あっ 若旦那でございますか?」。 「臭い 臭い水の臭いがする水くさいてんだよ 若旦那。 私が 今 こうやって貸本屋 やってられるのは誰のおかげだと思って若旦那 あなたのおかげじゃありませんか ね~。 「何を 若旦那 今更 本当に。 「ほら ほら向島の植半さんの二階お花見の会があって若旦那は 用事で来られないてぇ時だ。 そこでもって 私が若旦那の声色を遣うてぇとこれがワンワンと うけたんだ。

だから お前に 二階でもって俺の身代わりをしてもらってよ親父に 何か 聞かれたら その得意の声色で答えてもらってで 俺が 遊んで帰ってきたらそこで 入れ代わるってんだ。 そりゃ いけねえよ 若旦那」。 「早いったってね若旦那のためだったら命だって要らねえ」。 「頼むはいいけどもね 若旦那大丈夫だろうね?事によるてぇと その事を聞くかもしれねえぜ」。 「いけないよ 若旦那 そういう事端に言っといてくれなくちゃ。 「そう すぐに 声は出ないんだよ若旦那」。 これですよ 若旦那。

若旦那どんな本 読んでる? ええ?『学問のすすめ』?」。 「難しい本 読んでんだね若旦那。 若旦那どの辺まで 行ったかな?あの源公の車ってなぁ速いからね。 「若旦那 帰ってくるだろうね?ええ?帰ってこなかったら大変だよここに雪隠詰めですよ。 『そんな事 言わないで善公なんざは 構やぁしないやねあんな者死んだって構やぁしないやね』『ウ~ン それもそうだなじゃあ 泊まっていこうか』言いかねないよ 若旦那はな。 半分 鼻にかかったような声 出してね『ね~ 若旦那〜 いいんだろ〜?も〜う アウ〜ン』」。

それから もう一つお前に 聞きてえんだがなあの~ 若宮町のおばさんが来た時にどこかの土産だってんで干物を置いてったようだな?」。 「あれは 何の干物だったぃ?」。 「ムロアジの干物じゃなかったのかい?」。 ムロアジの干物でございます。 「ばか野郎 干物を下駄箱へ しまう奴があるか」。 「あの~ なんでございます干物を入れる干物箱でございますな」。 「干物箱?そんな箱が 家にあったかな?お前 ひょっとして あれ鼠いらずに入れたんじゃねえのか?」。