古典芸能への招待 歌舞伎「お祭り」「倭仮名在原系図 蘭平物狂」

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この番組のまとめ

そして もう一つが尾上松緑さんのご長男の藤間大河さんが三代目尾上左近を名乗り「蘭平物狂」の繁蔵で初舞台を踏まれました。

それだと ちょっと本当は 初お目見得には早いんですけれども師匠の尾上菊五郎のにいさんが「古い歌舞伎座に一度 出ておくのは 絶対後々に いい経験になるから古い歌舞伎座で初お目見得をして新しい歌舞伎座が出来たところで初舞台をするのが一番いいんじゃないか」という事をご助言下さいましてそういうスタイルで今回 させて頂いたんですけども。

まあ 正直な話があんまり面白くなくて廃れていってしまっていたものを祖父が菊五郎劇団の名題下さんたちまた 殺陣師の坂東八重之助さんで 私が というふうに本当に ちょうど大和屋のうちと我が家とで代々 交互交互にさせて頂いているものなんですけれども。

一間の内より立出で給い 見紛い給うと思えども どうやら心恥ずかしく ただヤァヤァ 繁蔵 早や参れ。 いましめの縄を切って逃ぐる程の曲者中々 繁蔵如きの小腕にては務まりますまい。 不興気に見えければ我君様 妾も後程 御意得まする。 押し返して宣へど 蘭平は耳にも入らず我子を思う一心不乱 行平御気色変わらせ給い言語道断。 又 いつの世に逢うべいぞ アレワイサノサ コレワイサノサ 供先片よせ すうすうすう 姿詞も綾も無く 狂い乱れて生まれついたる難病とはいいながらこりゃ いかが致した事じゃ。

誠に須磨では賤の夫婦同然その折 慰めくれた そちが琴 折から此処へ蘭平親子その褒美として 今日より武士に取り立て 召し抱えん。 手柄始めの身の面目嬉しさ類いなかりける 勝手へこそは 切ってかかるを 引っぱずし与茂作とやら 仔細ぞあらん白状致せ。 悦び合うこそ道理なれ我が父 伴の実澄御位争いの折柄に行平の御手にかかり無念の御最期。 はっと答えて繁蔵が 濃き紅の鉢巻に主君に刃向う伴の義雄親子とて 容赦はならぬ。