上方この我々が名乗っております笑福亭という亭号まぁ 屋号とも申しますが上方落語界 唯一の芸名でございます。 大阪だけなんですね他に行っても 笑福亭は無い訳でございますからこれから 落語においても頭に置いても船の大きさはと申しますと長さが5丈6尺幅が8尺3寸ときちっと 決まっておりました。 下ります折には 伏見の寺田屋の浜ですな 天満の八軒家まで考えますと 今は 新幹線で15分ですかな 大阪 京都間ね。
あれ 人間ってね今の人も 昔の人も復元したいという 本能があるらしいんですね 復元本能。 皆が めいめい好きな事を やっておりますと船宿の番頭さん 手に 帳面と矢立をば持ちまして二階へ上がって参ります。 「今橋通り二丁目」。 「今橋通り二丁目」。 「鴻池善右衛門」。 「おいどんかな? おいどんは鹿児島県鹿児島市本町通り二丁目十六番地西郷隆盛」。 「西郷隆盛?西郷どん お会いした事 おへんのどすけど お写真で見たら「牛若丸」。 「竹内秀夫や」。 竹内秀夫」。 「矢倉悦夫」。 「矢倉悦夫」。 「奥村菅男」。
ちょうど 皆が乗り込んだ時分に京の女子衆が「お土産 どうどす?お土産 よろしゅうおすか?おちりに あんぽんたんよろしゅうおすか?西の洞院紙はよろしゅうおすか?巻きす文字のおいしいのもございます。 お女中じゃ「おい 船頭 無茶 言いないな もう見てのとおり すし詰め状態。 「えらい あの旦那と船頭と喧嘩してるけど船頭っちゅうのは 言葉 荒いな」。 お前 昔から言うやろ?『馬方船頭 お乳の人』っちゅうてな言葉の荒い代表が 馬方と船頭や。
やっぱり 馬方船頭ってなぁ言葉 荒いほうがええねや。 「おう お客さんよ~お女中じゃけあと一人乗せてやっとくんなされ」。 「船頭が あれだけ頼んでまんねや ね~?お女中さん一人でんがな乗せてあげまひょうがな」。 いや いや そりゃね あんた三十石 初めてでっしゃろ?そやからそんな事 言いまんね 私 何遍年に何回かこの船に乗ってまんね ね?いや これくらいでちょうど よろしいねん。 今はちょっと 間が空いてるように見えまっしゃろ?これが 大体 枚方辺りに来たら皆 寝込みまんな。
そんな事で 礼言われたら てれてしまいます』『どちらへ お帰り?』『私は内久宝寺ですねん』『まあ~ お近くやおまへんか』『姐さんは?』『松屋町 和泉町上がった所でんねやわ』『同じ方角でんな』『一緒に帰りまひょか?歩いて帰るのも なんでっさかい車に乗りまひょか?車屋はん 車…』」。 「いや この お女中と一緒に住んでる 女子衆さんでんがな」。 けど やっぱり あのお女中さんの別嬪さからいうたらこれは やっぱり女子衆さんも きれいですわな。
姐さんが卓袱台の上 きれいに拭いて仕出し屋が持ってきた 小鉢物の2つ 3つ 並べたところでお清どん酒の用意ができてくる。 チャプリン チリ~ン トッポ〜ン」。 「何だんねん?その チャプリン チリン トポ~ンて」。 揺れまっしゃろ?揺れた音が チャプリン盃同士 当たって チリ~ン沈んで トポ〜ン」。 お女中の荷物だけん取ってやっておくんなはれ」。 どうです? 皆さん羨ましいこと おまへんか?けなるいこと おまへんか?ええ? お女中の荷物 やっぱり何か 匂い袋の ええ匂いしてます。