一冊の辞書には作り手たちが言葉に捧げた途方もない時間が潜んでいる。 生まれては消える言葉を辞書は追いかけ続ける。 山本さんは辞書出版部の部長。 まあ…山本さんはこの辞書の編集長を務めている。 本間さんは 辞書にない言葉を見つけると カードを取り出し「高速行きますか?下道行きますか?」って聞くから。 言葉っていうのは常に変化していくものですからそういう意味でも 言葉とともに生まれ変わっていき成長していかなければならないというのが辞書の宿命だと思うんですね。
辞書編集者に憧れる石塚さんにとって本間さんのカードは生きた教科書である。 辞書に載っていそうで載っていない言葉ばかりだった。 ここから 辞書に載せる言葉の候補を洗い出す。 天井までぎっしり積まれているのは1988年の大辞林初版刊行の時の資料。 この辞書に人生を捧げた編集者がいる。 それで 国鉄って どこに出てくるんだって 何十人かけて…何しろ 辞書って信用問題でしょ。 一冊の辞書として例を見ない22万語を収録し100万部を超える大ベストセラーとなった。
山本編集長が 社長はじめ初版は 100万部以上を売り上げたものの現在では20分の1以下に縮小してしまった。 三版大辞林が 23万8,000語で六版広辞苑が 24万語。 辞書作り修業中のインターンの石塚さん。 う~ん… これで記述が…まず 検討されたのは「エッジ」という言葉。 筑波大学博士課程 日本語専攻。 ベテラン編集者・本間さんは一度書き上げた語釈に時間を置いて もう一度手を入れる事にしている。 本間さんは 語釈書きに苦しむインターンの石塚さんの事を気にかけていた。