名前が馬五郎ってんですよ。 で あだ名が「らくだ」ってんですがね人間が 動物の名前2つ 付いてるんですからこれろくな者じゃないですな。 で また ここへ人が集まってくるってぇと大概 同じような奴らでね肩 怒らせて やって来て他人の顔 ジロッと 見て何か うさんくさいのがやって来るんですよ。 ウウ~ン いえ あの〜「何だい?そんな事は無えだろう?ほら あそこに ほら七輪が ね? 土瓶もある」。 親方ね 分からないでしょ?あれ 七輪ったって置いてあるから七輪なんですよ。
いや あの~ 『よろしく』っていう事でございましてねで 『貧乏長屋ですから大した事 できませんが後ほど ご挨拶に』っていう事で」。 でな 『今夜 通夜の真似事をしたいと思うんですけども大家さん お忙しいですからお通夜に 顔 出さなくても結構でございますがその代わり大家といやぁ 親も同然店子といやぁ子も同様と言いますんでねお通夜の方に 水だけでもってお帰しする訳にもいきませんからお酒の いいのを3升ばかりとそれから 何かね牛蒡とか人参とかねそう 言ってこい」。
で というのは『今夜 その~らくださんの通夜の真似事をしようと思うんですけど大家さんは お忙しいからおいで頂かなくとも結構で…』」。 死骸が かんかんのう 踊るって見た事 無えやな?『そんな事で驚くような大家じゃない。 そう 言って 話したらね『死骸が かんかんのう 踊るなんて見た事ねえから 見てえ』ってねいや~ あの大家さん 駄目です。 「ほらっ この野郎 らくだの死骸背負って 立て」。
♪「かんかんのう かんかんのう」♪「きゅうのれんす キュッキュラキュ~の」「おらっ ドッコイ おらっ そらっお望みだ~。 おらっ死骸の かんかんのうって…」。 家なんか 湯の帰りしょっちゅう 通ってあの~『らくださんの死骸をこちらへ お持ちしてで その死骸に その時 ご愛嬌にかんかんのうを踊らせます』って言うんですけどね」。 「ええ? 死骸持ってくるんじゃねえよ。
アア~ッ まずい酒だったら突き返してやろうと思ったけど一口 やったら割かし いい酒だったからなだから それ勘弁してやったんだけどさな? どうだ?お前も 一杯 やれや」。 あっ 煮しめ ヘエヘエ。 私もね 他人の面倒は見る事 ありますけどね面倒 見るってなぁこれ やっぱりね銭もなくちゃいけねえんだよ ええ?だけど 親方 一文無しでこれだけ やるんだもの」。 「ヘヘヘ 偉いね 本当にさ エヘヘヘ。 らくださんもあなたみたいな方がね エヘヘ兄弟分にいて 幸せだよねエヘヘヘヘヘ 本当にさ ウンウン」。