パリ白熱教室 第3回「不平等と教育格差~なぜ所得格差は生まれるのか〜」

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この番組のまとめ

例えば コンピューターや医療の分野で高い技能の需要が増えた場合高い技能の労働者例えば コンピューターのエンジニアの供給がその需要に追いつけば高技能労働者の価値は低下して不平等は縮小する。 しかし この「教育と技術革新の追いかけっこの理論」はカッツは クリントン政権時代労働省のチーフ・エコノミストだった。 特に 彼らの研究で興味深いのは20世紀を通じて 労働者の技能の差が どのように変化しそれが どう賃金の格差と結び付いたかを10年ごとに区切って比較した点だ。

アメリカの大学では その高い授業料がよく話題になるよね。 例えば アメリカのハーバード大学の学部学生の場合教科書代や 学生寮の費用などを含めた 年間の学費はおよそ5万ドルに上ります。 経済協力開発機構が加盟国の教育達成レベルを比較するために行っている大規模な試験の事だ。 フランスが ドイツに負けたとかあるいは 日本と韓国がいい成績の場合もあればそうでない場合もあるというので毎年 各国で大騒ぎだ。 この調査の結果から見るとアメリカの教育における 達成度の格差は 明確に強いとは言えない。

能力主義をうたいながらそれが うわべだけだという事はパリ政治学院の学生について同じ計算をしたら どうなるか。 高等師範学校でも経営大学院でも かまわないが親の年収によって授業料を設定している。 彼らは とても 裕福な家庭の出身である場合が多いので彼らを含めた数字だと 事態はもっと深刻ではないでしょうか?EU域内からの学生はフランスと同じシステムで親の収入を大学に申告する。 特に フランスでは授業料こそないが経済的に恵まれた学生が進学するエリート大学の公的予算は一般の公立大学より高い。

1990年代の初めアメリカで 最低賃金がとても低い事が問題となり大きな論争となった。 彼らが提起した解釈は最低賃金を引き上げると雇用が減るという通説とは最低賃金が低く買い手独占の状態では最低賃金の引き上げがむしろ 労働供給を高めるある程度 固定的な給与体系が有効であるという事が彼らの議論によって示されたというわけだ。 最低賃金の推移だが黄色がフランス 青がアメリカだ。 両国の 最低賃金の伸びを比較して驚く事はアメリカの方が フランスを大きく上回っていた事だ。

この20年間 イギリスやドイツで全国的な最低賃金の導入が議論されるようになった一つの理由は70年代 80年代までは組合が 賃金や給与体系の交渉を行っていたのに対して今は 組合が担っていた役割の一部を最低賃金制度が代替するという動きなのかもしれない。 特に サービス業では労働者の組織力が弱いため全国的な最低賃金制度の役割が求められる。 最低賃金制度には 適切な水準がどこかという問題がありそれは 税制や教育システムによっても異なる事について述べてきた。

この事は 教育や技能の需要と供給という要因ではもしも あなたが10万人の従業員を抱える大企業のトップだとするとあなたの限界生産力つまり あなたがその企業にもたらした価値がどれほどかを推し量るのは困難だ。 あなたが付け加えた価値あるいは 追加的生産物が企業の規模が 大きい場合は特に限界生産力理論は通用しない。 1970年代 80年代以降高額所得に対する税率を最も大幅に引き下げた国はアメリカであり 次にイギリスだ。