♪~屑屋の清兵衛さんってぇ人がいてこの人は 「正直清兵衛」芝の裏長屋を流してるってぇと路地から出て参りましたのが年の頃 18~19になりましょうか敷居も何も 腐っておりますから大変な騒ぎで。 「いえ それ 駄目なんでございますから ええそうして下さいまし」ってんで清兵衛さん 9文の他に300文 そこ 置くってぇとこの仏像を 鉄砲笊に入れる。 「今 屑屋から この仏像を500文で買い取り遣わした。
屑屋らしき者が通ると…。 「これ これ 屑屋」。 「こら 待て 屑屋。 向こうへ行け」ってな按配で通る屑屋 引き止められては「被り物を取れ」とやられてしまう。 う~ん ヘヘヘ『屑~い』ってやって 上から『屑屋』ときたよ。 「クククックッククッ」。 「クククックッ あなた方ねどういう訳で あのお侍が屑屋の面体 改めてるか知りたいでしょう?」。 まさか 真剣勝負する訳にいかねえから 木剣。 「その お侍の捜してる屑屋ってぇのは多分 私だと思いますよ」。
「じゃあ 細川様の お窓下通っちゃ駄目だよ」。 清兵衛さん 「ここが 細川様のお窓下だな」と思うから黙って 通ろうと思うんですが商売ってぇのは不思議なもんですな。 拙者は 細川の家来で高木作左衛門と申す」。 この間 お預かりしました仏像なんですけども細川様の ご家来で高木作左衛門と仰る若いお侍に大口があるんでございますよ。 我が先祖が 『先行き 困った事があらば』という心持ちで仏像の中に 50両という金子を入れておいたかもしらん だがな私は 先祖の意を 無にして売り払ってしまった。
「うん どうしたい?あ~ 千代田卜斎先生私の長屋に いらっしゃるな。 私に任せなさいああ うまく まとめましょう」ってんでこの大家さんが出張ってってどういうふうに話をつけたかってぇと50両を 真半分にして25両に 25両 作ってそこから 1両ずつ 出してで 高木作左衛門に 24両千代田卜斎に 24両。 じゃあ こう致しましょう先生の所から 一品先方に渡して下さいまし。 この茶碗 朝鮮の産でございまして4人の将軍の手に渡り関ヶ原合戦の折行き方知れずになった品。