パリ白熱教室 第4回「強まる資産集中~所得データが語る格差の実態〜」

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この番組のまとめ

ピケティ教授の 研究の集大成「21世紀の資本」はアメリカで 50万部を超えるベストセラーを記録。 納税申告記録から所得上位10%とその所得シェアを計算しなければならないが簡単な計算だからそれほど大変ではない。 これは 私が他の研究者たちと一緒に19世紀以降の フランスの資産不平等の長期的な変化を調査した時に実際に行ったやり方だ。

とにかく コンピューター以前は紙が 記録を残せる唯一の媒体だったわけだから「統計年鑑」は フランスのみならずどこの国でもとてつもなく分厚いものになりこの表を拡大してみよう。 6,100から 1万フランの所得階層には13万6,787人がいた。 上位の所得階層区分がたくさん あるが最上位の100万フラン以上は 181人だ。 1919年はフランスが 金本位制を離脱していくつもの所得階層があるのでそれだけで所得分布の正確な形を推測できる。

たとえ 結婚しても 3年間子供ができない所帯に対しては政治家の思い込みというのは時として激しくフランス出身者以外には家族指数と言っても 何の事か分からないかもしれないので説明するともし あなたが独身だとする。 こうした 税務統計では補足されない人々の割合はフランスやイギリスの場合 歴史的に見てどのくらいだったのでしょうか?いい質問だね。 アメリカでは1913年 フランスでは1914年にそれぞれ 所得税制が出来た。

所得不平等は 戦後のアメリカでは上位10%の所得シェアが30%から35%更に 50%程度まで上昇したりするが資産の 上位10%シェアはそれどころではなく19世紀の アメリカの資産格差はヨーロッパほど極端ではなかった。 19世紀から第一次世界大戦まで資産保有のシェアが上昇するが戦後1970年まで低下し再び若干の上昇を示す。 資産上位10%のシェアが総資産の90%というかつての水準に戻っていると言えるかどうかは分からないが実際の上位への集中度は若干 高めだと思われる。

驚くべき事にイギリスでも第一次大戦までは極めて高い資産集中が見られ最上位1%の資産のシェアは70%に達していた。 確かに ウェストミンスター侯爵の広大な地所を見ただけでもイギリスの 最上位の資産シェアが高い事は分かるがそれは そう大きなものではない。 白人の アメリカ人の中では資産集中度はそう 強いものではなく簡単に 地主になる事ができた。 その後ヨーロッパの資産集中は弱まり恐らく 他の国も同じ傾向を示しているだろうからこれで 一応 この時期のヨーロッパを代表させていいだろう。

フランスのデータはデジタルデータになっていて不動産 金融資産 株民間および公的債券資産保有者の年齢などさまざまな事が分かる。 大部分は 何といっても不動産と金融資産だ。 金融資産の内訳を見ると投資対象が極めて多様化している事が分かる。 資産保有者は細かい事情に精通し企業のリストの中から選択し世界中に 自分のお金を投資する。 当時 既に最上位1%がかなりの金融資産を特に 株の形で保有しているのが分かる。

予備的貯蓄モデルは予期せぬショックが起こる可能性を想定しているがライフサイクルモデルははっきりと分かっている定年後の暮らしを どうするかそのために いくら貯蓄する必要があるかというモデルだ。 ライフサイクルモデルのもう一つの問題はそれぞれの世代が常に 資産ゼロからスタートするので資産集中が生じる時間がないという事だ。 もし もっと長い時間という考え方を取り入れ次の世代の事も 更にそれ以降の世代の事も考慮すると同じ家族でもゼロから始まる ライフサイクルモデルでは見られなかったより大きな資産集中が起こりうる。