これらの膨大なデータを基にピケティ教授は所得と富の格差や資本主義の法則を明らかにしようとしたのです。 ピケティ教授の 研究の集大成「21世紀の資本」はアメリカで 50万部を超えるベストセラーを記録。 不平等の問題にピケティ教授が切り込みます。 これまで 資本収益率「r」と経済成長率「g」の差が不平等を生み出す元となっている事を見てきました。 これからの資本主義についてピケティ教授と共に考えます。
結局のところ ソヴリン・ウェルス・ファンドの投資戦略はアメリカの大学基金ほど野心的ではないという事だ。 もちろん 資産の規模が大きいほど収益性も高いという傾向はソヴリン・ウェルス・ファンドにも当てはまる。 例えば ノルウェーのファンドの国外資産つまり 国外で公式に保有する資産の規模はノルウェーの 年間GDPの2倍で急速に成長している。 しかし もし国外資産がGDPの3倍から5倍にもなればこれは ノルウェーや その他の国々の経済のバランスや 不平等の考え方を変えるほどのものだ。
国連大学の研究によると今 資産格差が激しいのは新興国でその理由は 大きな相続資産を受け継いだ人がこれが 現在 新興国で起きている事だと思いますか?先進国でも 産業革命の時代に同じような事が見られたのでしょうか?そのとおりだと思う。 新興国においては現在の中国は いわずもがなだが資産分配については安定した状態からははるかに かけ離れている。 だが まあ 長期的な安定状態が訪れたとしてもそこでの資産不平等が現在よりも 改善されているか悪化しているかは 別の問題だ。
では 現物による移転所得とは何か?それは 教育や医療を無料 もしくは僅かな料金で受けられる事を意味する。 「課税後」 および「移転所得後」の分配を明らかにする事が望ましいのだが そのためにはこの 現物移転の問題を考慮しなければならないのでそこが難しい。 例えば アメリカは この数十年間最も 不平等が強まった国だが人口の下位50%が受け取った移転所得の最大の項目は低所得者のための医療扶助でこれが ずっと増えてきている。
フランスは 今では 特に税率が高くGDPに占める割合で見た公的支出が高い国になっている。 最上位層に対する累進性は重要だが歴史的に見て その意義の大半は最上位層の労働所得を抑え彼らの利益追求を いわばコントロールするというところにあったと思う。 大多数の人々にとって所得税の実効税率はそれほど 累進的ではない。 最高税率を引き上げたのは歴史的に見て 全体の税収を増やすためではなく最上位の所得の 急激な上昇を抑えるためのものであったと私は考えている。
アメリカで 所得税が導入されたのは1913年で フランスは1914年だ。 アメリカの所得税の最高税率は90%台にまで上昇した時期があった。 1930年から1980年の各時期の税率を平均するとこの高い税率が アメリカ資本主義を損なったわけではない。 レーガン政権以降最高税率が引き下げられたが逆に 生産性を上げる効果があったかどうか はっきりしない。 ドイツを 例にとれば1回だけだが 所得に対して相続税と 全く同じ率の90%という最高税率がかけられた事がある。
最高税率とは 最も高い所得や相続資産の区分に対して課せられる税率だ。 現在のアメリカ イギリス ドイツ フランスの相続税の最高税率は40%ぐらいだ。 アメリカなどでは 相続資産は子供だろうと 友達だろうと愛人だろうと 恋人だろうと誰に贈与しても 税率は同じだ。 みんなの賃金が伸び悩んでいる時にロンドン パリ マドリード ローマといった一等地の 高額の不動産の税率に手をつけないというのは当然の事ながら 国境を超えた金融資産の情報の交換がこれまで以上に必要になってくる。