パリ白熱教室・選 第2回「所得不平等の構図~なぜ格差は拡大するのか〜」

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この番組のまとめ

ピケティ教授は 研究仲間たちと15年以上の歳月を費やし300年にわたる 世界各国の税務記録を収集してきました。 これらの膨大なデータを基にピケティ教授は所得と富の格差や資本主義の法則を明らかにしようとしたのです。 「アメリカでは所得の最上位層1%が国全体の総所得のを占有している」。 だから今日は まず所得格差所得不平等の問題を考えてみよう。 労働所得で見ると上位10%による シェアは大体 総労働所得の20から30%だ。

少なくとも 上位層 中間層下位層という 3つの区分でしかし ジニ係数に頼るだけでは不十分だ。 所得上位層のシェアについて見る場合には今 言ったデータ以外にもさまざまな雑誌が扱う 長者番付や財務データなどが役に立つ。 上位層の所得シェアは20%くらいで下位層が 35%中間層が 45%といったところだ。 所得不平等の 最も低い社会では上位層が 労働所得全体の20%程度を占めていて中間層が 45%その場合の ジニ係数はとても低く0.19ぐらいだね。

最近の研究ではアメリカの 上位層の資産占有率は73%から 75%に近いと言われていて 70%を超えている。 上位層が総資産の90%を占めていて中間層は下位層と同じ極めて低いシェアだった。 つまり 資産の所有格差というものは極端に集中しがちでかつてほどではないにせよ今日でも 労働所得の格差よりもはるかに大きい。 かつてのヨーロッパでは 極端な資産の格差が不平等の原因だった。 下位50%の資産シェアが5%という事は彼らの平均資産は 社会全体の平均の10分の1という事だ。

長期的に見た 資産分配の一番 大きな変化は資産の かなりの部分が上位層から中間層に移動する事によって格差が縮小したという事だ。 19世紀の アメリカの比較的 平等な資産分配は大規模に世襲された ヨーロッパとは大きく異なる。 もちろん 資産が比較的 平等だったといってもそれは 白人のアメリカ人の間での事だ。 19世紀のアメリカの不平等を論じる時には平等なアメリカと奴隷制を持つ 不平等なアメリカの二つの側面を見る必要がある。

また 同じようなグラフだが資本所得のシェアが上昇し労働所得のシェアが低下している。 なぜ 混合かといえば それは部分的には 労働所得であるし部分的には 資本所得だからだ。 例えば 医師の所得は一部は 人的資本投資から得た収益でありその意味では 労働所得だ。 長い間 資本所得は労働所得よりも重く課税されていた。 所得税が作られた時には資本所得は 労働所得よりも重く課税されていた。 実際 課税後のシェアでは労働所得の方が高いだろう。