優れた技能を持つ労働者を育成する教育が所得の格差を考える上で重要だと指摘する ピケティ教授。 進む技術革新に 高い技能を持つ労働者の育成は追いつくのか。 講義の後半は一部企業の高額報酬の問題や今日は 「教育と技術革新との追いかけっこの理論」を取り上げていこう。 まず 技能の高い労働者と技能の低い労働者の2つの労働者のタイプを想定してみよう。 つまり 技術革新による高い技能の需要の変化に教育が 追いつけるかどうかその速さが問題だ。
「大学教育修了者」と見なしている。 世代ごとの大学教育修了者の比率は戦後 ずっと増え続け1950年代から 70年代は増加率が とても高い。 こうした 教育の格差による「スキル・プレミアム」つまり 高い技能による割増賃金の上昇が賃金格差の主な原因だという事だ。 賃金格差を是正するには教育への投資や高等教育を受ける機会均等を広げる事が重要だ。 もちろん その違いで 全てが説明できるわけではないが少なくとも アメリカがヨーロッパや日本に比べて賃金格差が 大きい理由の一部である事に異論はないだろう。
高等師範学校でも経営大学院でも かまわないがパリ政治学院を 例にとるのは親の年収に応じて 学費を支払う数少ない大学の一つで1万5千か。 パリ政治学院の学生はみんながではないが大半が 上位10%以上の所得層だ。 ハーバードとパリ政治学院についてですがそのデータには 留学生は含まれているのでしょうか?留学生は 裕福な家庭の出身である場合が多いので彼らを含めると学生は 全体として大半の留学生が所得上位層なのでそれを計算に入れると上位10%より上がるだろうがハーバードの2%まではいかないだろう。
講義の後半では最低賃金と高額報酬の問題について考えていきます。 最低賃金制度や経営者の高額報酬はどのように決まっていくのだろうか。 カードとクルーガーは最低賃金の引き上げはむしろ 労働供給を高め雇用を拡大する可能性があると主張した。 彼らは ニュージャージー州とニューヨーク州を比較し最低賃金を引き上げたニュージャージー州で雇用が増えた事実を指摘した。
アメリカが 7ドルなのに対してフランスは 11ドルだからフランスの最低賃金の方が圧倒的に高い事が分かる。 一つには フランスが最低賃金は抑えられインフレで その実質価値はどんどん目減りした。 最低賃金の引き上げと教育や職業訓練を 同時に推し進める政策が必要だとだから フランスでは最低賃金を引き上げるべきか否かという問題への答えも当然ながら違ってくる。 実は 興味深い事にイギリスでは 1999年までいずれにしても 現在は全国的な最低賃金制度がない。
所得上位層内部の不平等の推移は限界生産力理論や市場競争モデルでは説明がつかない。 また 「教育と技術の追いかけっこの理論」でもなぜ 平等だった分配が極めて 上位への所得集中によって不平等になったのかまた それが なぜ 特定の国に集中して起こっているのかがアメリカを見ると教育による要因では説明できない最大の問題は所得格差の ほとんどが最上位層1%やその上の 0.1%への所得集中によって起きているという事だ。