パリ白熱教室・選 第4回「強まる資産集中~所得データが語る格差の実態〜」

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この番組のまとめ

その創立に関わり初代校長を務めたのが気鋭の経済学者 トマ・ピケティ教授です。 ピケティ教授は 研究仲間たちと15年以上の歳月を費やし300年にわたる 世界各国の税務記録を収集してきました。 これらの膨大なデータを基にピケティ教授は所得と富の格差や資本主義の法則を明らかにしようとしたのです。 ピケティ教授の このリポートが「ウォール街抗議運動」の理論的な支えとなりました。 ピケティ教授の 研究の集大成「21世紀の資本」はアメリカで 50万部を超えるベストセラーを記録。

6,100から 1万フランの所得階層には13万6,787人がいた。 上位の所得階層区分がたくさん あるが最上位の100万フラン以上は 181人だ。 所得区分ごとの平均所得も計算でき分配状況を把握できる。 つまり所得のない配偶者や 子供など被扶養者がいる場合の所得控除だ。 各所得階層のおよその子供の数や配偶者の有無など税率を計算するために必要な情報もある。

この表から 所得の種類だけでもさまざまな情報があり資産所得と労働所得更に 資産所得の中にもいろんな項目がある事が分かる。 第一次世界大戦までは資産集中の縮小は見られずむしろ 僅かながら拡大している。 所得不平等は 戦後のアメリカでは上位10%の所得シェアが30%から35%更に 50%程度まで上昇したりするが資産の 上位10%シェアはそれどころではなく60%から70%場合によっては 90%にもなった。

ところが そのあと第一次世界大戦で大きな変化が起こった事はこのデータから明らかだ。 1913年に フランスのエリートは「自分たちの国は イギリスよりも平等だ」と自慢したがどこもかしこも とんでもなく不平等だったという事だ。 スウェーデンは第一次世界大戦までは他のヨーロッパ諸国と同様資産不平等が甚だしい国だった。 それが是正されるのは第一次世界大戦が起きてからだ。 これはスウェーデンの総資産の上位10%と最上位1%のシェアだがある研究者によればスウェーデンの資産不平等が最も小さかったのは1980年ごろだ。

すると 第一次世界大戦以前の時期においてはヨーロッパが アメリカよりもずっと不平等で1950年代までそれが続いている事が分かる。 フランスのデータはデジタルデータになっていて不動産 金融資産 株民間および公的債券資産保有者の年齢などさまざまな事が分かる。 大部分は 何といっても不動産と金融資産だ。 金融資産の内訳を見ると投資対象が極めて多様化している事が分かる。 当時は 金融資産は 投資家による直接保有が大部分だった。

そして みんなが衝撃に備えるクッションとしての予備的貯蓄を同じだけ持つと資産の格差は なくなるが労働所得の格差は大きいままだというものだ。 だからといって予備的貯蓄というものが全く ないわけではないが資産蓄積を目的とする形態とは言えない。 予備的貯蓄モデルは予期せぬショックが起こる可能性を想定しているがライフサイクルモデルははっきりと分かっている定年後の暮らしを どうするかそのために いくら貯蓄する必要があるかというモデルだ。