日本の話芸 落語「花見の仇(あだ)討」

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この番組のまとめ

あの花というのは不思議なもので見る人によって その風情が変わるという 不思議なもので。 「咲きぁがったねこの擂粉木野郎」なんてねええ 桜を見りゃまず 擂粉木だと思う。 まぁ 仇役の浪人がな桜の根方か何かでこう どっかり 座ってプカ~リ プカリと煙草を吸ってる。 『さぁさぁ 寄っておつけなせえ』ってんでな火玉を ポ~ンと はたいてコロコロッと 転がってく その火玉をズ~ッと 追ってってで ヒョイと 見上げたのが深編笠の中の 浪人の顔だ。

十重二十重の 人の波になったとこで 六十六部が 間へ入る。 ここは 一番 私にお任せ下され』ってんでな ああ六部が背負ってるこの おいずるの中には酒肴の支度がしてあって三味線が 畳んで入れてある。 「な~? 今まで本物の仇討ちだと思ってね『どうなるか? 人死にが出るんじゃねえか』なんてこうやって 見てた奴がさ『何だよ おいこれ 花見の趣向だよ。 巡礼兄弟になってもらってね。 ♪「トトンテ トッチリチン」「って これで やらなきゃ。

コロコロッと 転がったその火玉を 目で追って深編笠の中の俺の顔を見て 驚く」。 「あっ そう?ええ? ヘヘヘ これを追って深編笠の中の顔…。 いや 今は こんな格好だけどな~? 明日になったら浪人の格好だよ 深編笠にええ? 紋付きに袴で な~刀 大小 差してんだから侍らしい名前 頼むよ」。 何年以前…。

上野のお山袴越から上がろうってんで広徳寺の所まで参りましたら本所の伯父さんに会っちゃった。 この伯父さんってぇ人が不思議な人で耳が遠くて腕力が強いというね。 「じゃあ 伯父さん家 行って伯母さんに訳を話して見逃してもらおう」と思ったら伯母さん 買い物行っちゃって 留守なんだ。 じゃあ 酒 飲ませて酔い潰してしまおう」ってんで背負っておりますこの笈櫃の中から酒肴を出してこう 飲ませ始めたんですがこの伯父さんがまた 酒が ばかに強い。

なにしろ 朝の8時からズ~ッと 煙草を吸ってるんで頭は クラクラ 喉は イガイガ。 六部は チャンバラが始まらなきゃ出てこられねえからどこかへ隠れてるんだろうけど全く 巡礼兄弟の野郎何をして…。 あ~ 全く まぁ世話 やかしやがって 本当に。 そっち 行っちゃっちゃ駄目だろう 本当に もう。 「大笑いじゃないよ もう仇同士が 仲よく 喋ってたらおかしいだろう?本物の侍が来るんだよ。 「仇呼ばわり 片腹痛え両名共 不憫ながら返り討ちだ」。

巡礼兄弟がカ~ッ 強そうな仇にかかってるよ〜。 「そうかい?お~い 巡礼兄弟しっかり やれよ〜。 「ええ 討つほうは巡礼兄弟で若えんですよ。 「何? 巡礼兄弟が? 近藤。 最前御成街道で出会うた孝子両名見事に仇に出会うたようじゃ。 「助太刀じゃ」。 「助太刀? どっちに?」。 「言わずと知れた 巡礼兄弟に」。 「ありがてえね おい ええ?旦那が 助太刀に入った。 お~い 巡礼兄弟〜喜べ〜 助太刀が来たぞ〜。 助太刀だぞ~」。 「助太刀って何?」。 助太刀か何か 言って入って来ようってんで」。