古典芸能への招待 歌舞伎「成駒家歌舞伎賑」「心中天網島 河庄」

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この番組のまとめ

まあ 改めたというよりも実は 初代 鴈治郎私のひいおじいさんですけども鴈治郎という名前になった時に中村鴈治郎と名乗る時にですねいわゆる 江戸の成駒屋歌右衛門家 成駒屋から私のうちが派生した分かれたという事で区別しようと考えたんだと思うんですね。

四代目 中村鴈治郎さん。 さあ お待ちかねの中村鴈治郎さん無事 お連れ致しました。 四代目をご襲名なされた中村鴈治郎さんを上方より この木挽町へお迎えする事が かないまして我らととりましてもまことに大きな喜び。 名に負う役者と成駒屋代を重ねて四代目は烏滸がましくも 人並みに達師の中に連なって香り芳し裏梅に高音張りける鶯は春の初めの小町桜元を辿れば 上方で傾城歌六と評判者。 初代所縁の太平記大望成就の幸先に兄貴と共に押し出した檜舞台の吉田屋で若え者とは気恥ずかしいが祝う めでたき時なれば屹度勤める筋金入り。

この 鴈治郎の名跡を襲名致しました上からは上方歌舞伎は申すに及ばず歌舞伎界隆盛のために尽力致しまた ご指導 ご鞭撻の程を偏にお願い申し上げ奉りまする。 それから49年の年月が流れ上方歌舞伎継承のために努力精進を重ねていく覚悟にござりますればご来場 何れも様には末永く 御贔屓ご後援下さりまするようこうして列座できましたる事私身にとりましてこのような幸せな事はないと喜びおりまする次第にござりまする。

そういうところが 何となくうちの芸風にありましてそのうち お客様から見て「あ~ 今の鴈治郎もやっぱり 変わらん… 鴈治郎の『河庄』やな」と言われたらもう そこが 一つ丸なんではないかと思うんですね。 全国巡業 回りまして そして最後 12月の顔見世 京都ですねこれで 一応 襲名披露公演を締めくくりという事になるかと思います。 それでは 「心中天網島 河庄」最後まで ご覧頂きます。 なお 副音声では高木秀樹さんによる作品解説を行っております。

三五郎さん おつかいとは何でござんす?今日は旦那はんのお使いやおまへん。 あのな 追付けお客様も見えますほどにな浮名を立てる いやらしさお庄さん わたしゃ あの太兵衛に請け出されるほどなればいっそ 死んだがましでござんす。 あの太兵衛と云う人ほんにな 虫の好かんお人でなまあ見たところええ男のくせしてしゃべりだしたらもう憎たらしい事ばっかり云わしゃんしょ。

トン トトントントン…。 トトントントントントントントン…。 そうそう そうそう!トントン…。 小春と 紙屑 にテンテレガ。 ツルツルテンツツト ツルツルテあっ チャッチャチャチャ。 太兵衛 太兵衛! 紙屑来てる。 いや なに お内儀 是に居らるるが昨日 たのんでおいた 小春殿か。 天満に 神にはあらぬ紙様と 大幣の くさり合たる にしめなわ せかれて逢われぬ身となり果て 名残りの文の云いかわし 魂抜けて 身を焦す小春が噂侍客で 河庄方。

その日送りの あえない命 語れば うなづき 思案顔 口惜涙思召しも恥かし乍ら先も殺さず 私も命助かる道理。 心もせきに関の孫六一尺七寸抜き放し 格子の桟より小春が脇腹 爰ぞと見極めぐっと突くに座は遠く 刀の下緒 手ばしかく がんじがらめに 括るとちさあ 小春を連れて奥へ行かれ。 イヤイヤ 心配せずとここは わしに任せて 突かれる胸に ハッと貫きこりゃ 治兵衛さんの。 あの 盗人と申しましたはなコレなる治兵衛に大枚 二十両という金を貸してござりまする。

すぐに お屋敷の方へ届けさして頂きますよってあの… あの お侍様のお屋敷のお所お名前をお聞かせ願えますでしゃろか?あんた 兄さん!治兵衛!御免やす。 なア もし 治兵衛さん あんたなア私のような者でもこうして 度々 呼んで下されば嬉しけれどもなアあんさんには 女房さんもありお子達も二人ある。

お前故に世間への義理は欠き親類中には袖にされ生きていられぬ この治兵衛。 なあ 兄さん今夜と云う今夜はな ほんまに何遍云うたか 覚えているか。 いや けどな ほんまに今夜と云う今夜はほんまに ほんまに思い切ったんでおます。 あのな 今夜今迄と言いようが違いますやろ。 兄さんな これはな ほれ天罰起請文と云いましてな互いの心が変わらぬよう日本国中の神々に誓いを立てましてな月頭らに一枚ずつ取交して足かけ三年二十九枚?もう こうなったら皆 見せまっさ。

ちょ… 一寸ぐらい見せてくれはったって…。 これ 小春さん 最前は 侍冥利今は粉屋の孫右衛門 商人冥利女房子限って見せはせぬ。 早う帰ろう! 早う帰ろう!ちょいちょい… 一寸 待って。 帰るはええがな わし 一寸いろんなもの 持ってきてんのや。 一寸 支度をせなあかん。