♪~「片仮名のトの字に一の引きようで上になったり 下になったり」。 片仮名の「ト」という字。 昔は 身分制度というものが厳然として決まっておりました。 ご存じ 士農工商。 この お侍の最高峰と申しますといわゆるお殿様 お大名でございますね。 今までは 何々様々と言われていたのが何の方様。 当時の女性として最高の出世だったんだそうです。 よく聞きましたら「何区何丁目何番地 何様方」って違うんだ これが。 これで お前もうまくすると 二本差しになる」。
「バカ野郎!世話をしたり 斬られたりしてたまるか」。 お目録頂戴ぐらいの事はあるだろう」。 「何? そのモコモコってえのは」。 「モコモコではない お目録。 だって こないだ奉公にあがろうって時支度金って3百両もらったんだよ。 紋付き羽織 袴で行かなきゃいけねえ…。 「えっ 紋付き羽織 袴?ハハハッ あるよ」。 「ある?おい ばあさん聞いたかい?この野郎が紋付き羽織 袴 持ってるとよ。 「この野郎。 羽織は 対だ。 「この野郎 ふんどしも締めてねえ。 羽織はな 袴を着けてからだ。
御門がうるせえったって門が 口きく訳はねえんだからあそこの門番が うるせえんだな?ハハッ 何の楽しみがあんのかね?日がな一日 長え棒持って突っ立ってるんだよ。 「お出入り町人であるか?お出入り町人であればお上から 御門札 もらっとる。 お部屋様 兄 八五郎殿はご貴殿でござるか。 おっ これはこれはかねて 殿より お達しありお部屋様 兄 八五郎殿はご貴殿でござるか」。 入れ違いに出てまいりましたのが当家の重役 田中三太夫というこれはご年配のお武家でございまして…。
「モコモコしなきゃ いいんだろう?いいんだよ。 モコモコもらいに来たんだから」。 警蹕の声に 正面の襖が左右に開かれますと赤井御門守様ご家来を従えまして ピタリ ご着席。 「三太夫 参ったか」。 八五郎 面を上げい。 三太夫 いかが致した?」。 「八五郎 よう参った。 その方は どうじゃ?八五郎。 後で モコモコもらったらいくらか やるからよ。
「三太夫 捨て置け」。 そしたらね大家が呼んでるってえからねまた 店賃の催促かと思ったらそうじゃねえ。 子どもが できちゃったんですからひとつ 捨てねえようにねそしたら 大家が 何でもいいから行ってこいってんでねこうして 紋付きから羽織 袴ふんどしまでね…。 エッヘッヘ。 うまくいかなくてもモコモコがもらえるってんでモコモコって 何だっつったら紙に 小判が包んであるって。 エッヘッヘ。 「三太夫 捨て置け。