無沙汰をするくらい お前さんそれだけ 仕事が忙しいんだろ?あ~ これは いいや いいや。 人間は真面目だしね悪い噂も聞かないしああ 仕事は 一生懸命 する店賃の滞りも無いしさ私ゃね ぞっこん お前さんに惚れ込んでるんだよ。 それじゃ 話すがね実は この相手ってのが長屋の 不動坊ん所のお滝さんなんだよ」。 いや その お滝さんには今 言った 不動坊火焔て講釈師の亭主が いるじゃありませんか」。
「死んだ? 不動坊が?「ムハハハハハハ こりゃ ありがてえ」。 「こりゃ 話 しなくちゃ分からねえんですけどもね3年前に 不動坊がこの長屋に越してきたでしょ?でね お滝さんが 近所挨拶回り してるんですよ。 だけど 今 不動坊が『ちょいと貸してくれ』てぇから『しばらくの間 貸してある』とそう 思ったんだ。 実はねまぁ 不動坊ってのはほら 芸人のこったから見栄張った暮らし してたろ?方々へ借金を残しちまったんだよ。
今晩 来るんだお滝さんがね 今晩 今晩。 鉄瓶 持ってきちゃったよおい。 「湯 行くのに 鉄瓶 持ったってしょうがねえ。 で 親方 なんですか?やっぱり 湯 行く時に手拭いと間違えて鉄瓶 持って表へ出たでしょう?」。 で 鉄瓶じゃいけねえと思ってねこうやって 手拭いを持って…。
「実はよ お前たちも知ってるかもしれねえがなこの長屋の不動坊」。 俺だって言われてんだから ええ?あの漉き返し屋の徳さんはな商売が漉き返し屋だけにで ほら 不動坊は芸人のこったから 留守がちだろ?その留守によぅ茶菓子かなんか 持ってお滝さんの手の一つも握ろうと思ってソ~ッと 近づいてよぅ『まあ〜なんて事を するんですよ』なんてんで 物差しで ピシッとひっ叩かれた仲じゃねえかい」。 「実はよ不動坊の幽霊 出すんだ」。 「不動坊の幽霊? あっ そう。
実はよ 幽霊…」。 「ハア~ 幽霊 怪談噺。 実はよ お前にひとつ 幽霊になって出てもらいてえんだ」。 「ハア~ 私が 幽霊になって?『不動坊火焔の幽霊だ。 あの ウスドロってやつがねドロドロドロドロドロドロドロドロドロっと 入ると幽霊が 一層 引き立つんで」。 面白えな おい 幽霊ってのはこういう格好 してんのかい。 「ちょうど いいとこだよ今 大家の野郎が帰ってさ ええ?吉公と お滝さんでペチャクチャ 話 してるんだよ。 じゃあな鉄っつぁん 押さえてるから幽霊先 上げちゃってくれ 幽霊。
「おい 大丈夫かよあいつは ドジなんだよ間が悪いんだよ。 「背中に 傘 背負って…。 「大丈夫ですよ後ろ向きに上がりますから」。 「おい 大丈夫か? おい気を付けろよ おい押さえてるから。 お前 随分買ってきたんだね おい。 チャッ チャッ。 チャッ。 「ばかだな この野郎誰が こんな物買ってこいっつったんだよ。 「でも 食い過ぎるってぇと「だから 手前の事 チャラ万だ法螺万なんだって。 「そんな ポンポン言う事は無えじゃねえか。 「ダダダッ 喧嘩しちゃいけません下に聞こえますんでね。