古典芸能への招待 歌舞伎「競伊勢物語(だてくらべ・いせものがたり)」

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この番組のまとめ

さても神鏡 隠れます奇特ぞ 正に 玉水の雨の芦原 掻分け 押分け慾の熊鷹 眼を光らせ窺う大胆禁断の渕 とうとうと水練得たる身も軽く飛込む音に水増していと物凄き 此方の道無残なるかな 夫故に信夫は爰に かちはだしやわか取らいで置くべきか。 尋ね 彷徨う水の音難なく御鏡かつぎ上げによっと出たる鐃八が お~お〜お〜 お〜 お~ お〜 お〜お〜 お~ 昔男 初冠して奈良の京 主の姥は陸奥に 秋の初米挽臼の 巡る祥月命日は 母は納戸を立出てこれこれ かみさんいつにない浮かぬ顔。

立寄れば 家来共コリャコリャコリャ 御大身の傍近くあまりと申さば慮外千万。 コリャ 何事。 何れ馴染みも長袴 奥の あとに 女夫が つぎほさえ 涙拭うて 信夫は すり寄り私が遅う戻ったを疑うて下さんすは私を可愛いと思う お心。 ヤヤ コリャ紛れもない 八咫の御鏡。 見るも名残りのいやまさりそれを証拠に 訴人されれば我が身の科はこの御鏡の手に入る上は御両所の御供して今宵のうちに 此所を立退く所存。 コリャ 勘当さえ受ければ他人。 コリャ 何じゃな。 コリャ 信夫。

恩愛深き母親の心を察し有常も かかる折柄 川島典膳 家来 引き連れその証拠には これなる片袖。 入りにける忍んで 消ゆるもはかなき信夫草 照らす鏡の面差しは 乱れ心を取り直しモシ 父さんいいえ 父さんと呼んでも大事ござんせぬかえ?其方と別れて二昔今日会うて 今日別るるとは扨も短い。 父 磯上俊綱が大恩受けし故主の御子息 業平卿 のう 其のお詞に及ぼうか迷うなよ。