そして 複雑な関数を読み解く解析学など一見 互いに無関係だと考えられてきた数学の さまざまな分野に実は ミステリアスな深いつながりがある事を証明しようという壮大なチャレンジです。 もし このラングランズ・プログラムが完成し更に 数学の全ての分野が地続きである事が示せれば数学者たちを悩ませ続ける数々の難問が解決する可能性があるといいます。 数学の最先端理論を突き詰めていけばこの宇宙を支配する物理法則が次々と姿を現すのではないかというのです。
我々が生きている現実世界とは違う世界にあるからだともう少し具体的な例で数学の普遍性を考えてみよう。 ところで 今や知的生命体の存在は机上の空論ではなくもっと現実的な話になってきている。 「惑星ソラリス」という映画があるんだが惑星全体が一つの知的生命体なんだ。 「ソラリスのような知的生命体は 数を発見する事ができないだろう」と。 ソラリスの数学は 地球人の数学と違うのではないかと考えられたんだ。
私は 数学の研究とは ジグソーパズルのようなものだと考えている。 だから 異なる分野を統一しようという発想が数学界には 伝統的にあるんだ。 冗談で言うんだが みんなアインシュタインは知っていてもそれは 先ほど少し話したような数論や調和解析 幾何学などの数学の異なる分野を統一するための懸け橋を見つけようとする試みだ。 今回の一連の講義では 3つの数学の分野に焦点をあてるがそれが 他の分野より 重要だからというわけではない。
数学でも同じように複雑な関数などを普通 我々が幾何学について考える時学校で習うものを思い浮かべると思う。 非ユークリッド幾何学は なかなか理解しづらいと思う人も多いがそんな事はない。 ある意味 平面の幾何学よりはるかに面白い。 私が言いたいのは幾何学というものは実際には 君たちが慣れ親しんでいる幾何学よりもずっと豊かなものだという事だ。 幾何学は さまざまな形を研究対象にしている。
無限の対称性を持つと言える。 一方 四角いボトルは4つの対称性しか持たない。 この対称性の数を比較すればどちらが より対称的なのかは明らかだ。 つまり 丸いボトルの方がより多くの対称性を持つ事になる。 なぜならば 最初は直感だけで判断した対称性を非常に明確に説明できるようになったからだ。 これが丸いボトルの対称性を考えて対称性を群として捉える事で初めて数学の さまざまな分野の中に共通の存在を見つける事ができるようになるのだ。 対称性の群の特徴をもう少し 見てみよう。