思いぞ出づる 壇の浦の 源氏の 強者 あら物々しやと 名乗りかけ なぎ立て なぎ立て いい甲斐なしとや方々よ 三保の谷の四郎これにありと 柄なれぬ振舞い いづれとも 折れて引く潮 帰る 雁 勝負の花を 見捨つるかと 長刀小脇に かいこんで 向うへ行く足 よろよろよろ むんずと錣を引き切って 首の骨こそ強けれど 立ちふさがる 能登守 名乗りもあえず よっ引いて たまりもあえず 真っ逆様 武士の 袖は乾かぬ 枝を 連ぬる御契り などかは 朽ちしかるべきと はかどらぬ続いては 四代目中村鴈治郎襲名披露の演目「
土屋主税という人のいわゆる 芝居自体が初代鴈治郎にあてて書いたといわれておりますんで…。 それは 土屋主税公が書いてる当然 書いてる事なんですけどもあそこに関して言いますと多分 それぞれ やってる役者が今月は 自分でも書かさして頂いてます。 御本家は 九万五千石のお大名その御分家でおらの殿様は 八千石の旗本だ。 その土屋様のお屋敷は確か本所松坂町残念ながら御辞退申す。
かねて 宗匠より御高名は承っておりまするが拙者は 細川家の家臣にて落合其月と申すもの。 仮にも 家人と名がつけばよし叶わぬ迄も敵の屋敷へ斬り入ってひと太刀なりとも恨むべきにそれを のめのめ 生を貪り二君に節を売らんとは言語道断の豚侍!武士の風上にもおかれぬ奴じゃ!何と 宗匠左様ではござりませぬか。
聞くも淋しき 一人寝の…御前様。 赤穂浪士のその中でも大高源吾とはあ~ これこれ大高源吾とは あの 子葉の事か。 そなたはそのように仰せらるるが全体 大高源吾の心意気がよくないゆえ。 其角の手からそのような不忠者の妹を御前様のお傍近う差し上げたと言われてはいやいや明日までは待たれませぬ。 それが 二君に仕ゆる節をやぶるなどと細川の藩中落合其月今宵のお催しにぜひ同道致しくれよとのそりゃ落合其月殿が参られしとか。 捨てた浮世の御前様其月殿をお連れ申しました。
只今 宗匠より承われば大高源吾には節を破り西国方の諸公に仕官致すと申せしがこりゃ 誠の事でござるかのう。 恐れながら 拙者 愚案仕るに「明日待たるる その宝船」とは今は浪人貧苦の身なれど明日からは乗る宝船と己れの恥を自慢の一句。 女ながらも 私も赤穂浪士の妹なれば待て待て! 何故 生害なるぞ?御前様を恥かしめし 此の身の言訳此の場に於て。 源吾が仕える西国方の諸侯の名を問いしかど明日にでもなればいずれ判ると申せしのみならず「明日待たるる その宝船」明日待たるる いよいよ本望。