『姫路というたら あの酒井雅楽頭様 18万石のお城下。 播州一繁華な土地。 すると 中の1人がな『姫路というたら 有名な皿屋敷のある所でんな?』と聞かれた。 『姫路に住んでますけども皿屋敷というのは聞いたことおまへん』とこない言うとな『何を言うてなはんねん。 播州皿屋敷と言うたらなかなか有名なもの。 ああ あんた 姫路の方に違いはないけども城下の方やおまへんな。 『姫路のもんや』言うて『皿屋敷 知らん』ってなこと言うたら恥かいて戻っても しゃあない」。
この姫路に 皿屋敷というのがあるんやそうでんな」。 旅から帰ってくるなりわらじも脱がんと俺のとこへ皿屋敷を聞きに来ると…。 「あれは 車屋敷…」。 土地の者は皆 車屋敷。 皿屋敷というのはあれのこっちゃ」。 何や 車屋敷や。 しかし おやっさんあんな古い屋敷跡何で そない有名だんねん?」。 「お前らな 芝居や浄瑠璃を見たことないのんか?『播州皿屋敷』というたらなかなか有名なもんじゃ。 鉄山 お菊の留守を狙うてその皿を1枚抜き取って隠した」。
「行くと決まったもんは 今夜俺んとこ集まってくれ」。 先に楽しみがありますからええ具合に発散をします。 「ボチボチ 車屋敷の塀が見えてきたで」。 車屋敷さして 歩いてんねん塀ぐらい見えてくるわい」。 「何でって 塀 見ただけで こないゾーゾー ゾーゾー 寒気するんやろ?ヒョッと あん中 入ってしもうて幽霊も何も見ん間にガタガタッと震いついて死んでしまうってなったら何にもならんさかいな帰らせてもらう」。 お菊の幽霊かてな井戸の中から出るもんと決まったもんやないで。