大変に裕福に暮らしていたんだがこれ まあ 人間 いい事ばっかりはございませんでね道楽のため せがれ 伝次郎が勘当。 さあ 伝右衛門が何となく これは 不便ですから本家で 大島屋 喜兵衛という人ここの出戻り御殿勤めをしてたんですがねどうも 宿下がりになってどっかへ縁づくんですけれども何か 御殿勤めの暮らしの方がいいみたいでねうまくいかない。 ところが 伝右衛門とおしまというのがふだんは仲がいいんですよ。 前々から掛先のお約束のある者は番頭の金蔵が筋向かいの梅の湯だ。
締めて 5百両って仕事だがな途中でバッサリやってくんねえかい?」。 親に孝行君に忠義なんてえのはね頼まれたってできませんがね ヘヘッ人をばらして金とるって年季入れた稼業でござんすよ。 峠か宇津ノ谷かそう遠くて 小夜の中山でバッサリやってね ヘヘヘ。 言ってくれてる大旦那殺されちゃったらどうなんだい?どうしよう? 大旦那の事だから『こういう訳です』って知らせれば途中で 土地のお役人に頼んであの悪い野郎を捕まえてくれるに違いねえや。
馬乗りになった もう一人懐ん中へ 手ぇ突っ込むとあっ 大工の棟梁の小僧さん一文無しでお伊勢参りして帰ってきた。 あれ いくつか食べりゃ大旦那の後追っかけていけんだけどな」。 大旦那の後追っかけていけんだけどな~。 「おい!ま… まさかとは思うがなおめえ 江戸は新橋 竹川町大島屋の丁稚の松三郎じゃねえか!?」。