日本の話芸 落語「三方一両損」

戻る
【スポンサーリンク】
14:08:17▶

この番組のまとめ

江戸 八百八町に360軒あったそうです。 大きな寄席 小さな小屋漫才専門 浪曲専門いろいろあって360軒もあったそうですけどもね。 ですから 神田の駅 下りて日本橋の三越を ぐるっと回って京橋まで歩くってえと江戸っ子の権利が与えられるっていうんですよ。 でも 神田辺り行きますってえと神保町。 「紋付きはかまを着用し威儀を正して鑑賞すべし」。 昔は商家の旦那が出かける時に着流しじゃ失礼だからってんで「おい 奥から羽織を出しとくれ」。 「羽織を着用し行儀の悪くならない程度に鑑賞すべし」。

1両無尽か?それとも 2両無尽か?」。 10両無尽に当たっちゃったんだ」。 「お前 10両無尽?『10両盗めば 首が飛ぶ』って世の中だよ お前。 「俺とお前とはな子どもの時分から ずっと貧乏暮らし。 寄席 行くってえとな高座でもって パアパアパア言ってるはなし家連中 みんな貧乏暮らしでかわいそうなんだよ。 その10両 持ってってツカツカツカッと 高座の前でチャリンと投げつけて『みんなで 一杯飲め』パッと逃げてくるっていうそれが一番いいやり方だ」。 いい稼ぎしてるんだ コンチクショー。

ええ?神田竪大工町ってえのはどの辺だ?」。 「大工の吉五郎って いるか?」。 「大工の吉五郎って いるか?」。 「大工の吉… あっ吉っつぁんでございますか?この町内じゃ一番の江戸っ子でございまして威勢が よろしゅうございます。 この先 左曲がりますってえとケヤキの木がございますんでその長屋 1軒 2軒 3軒目腰障子に 『山形に吉』と書いてありますからじき 分かりますよ」。 「誰だ!? 表で パアパア言ってやんなぁコンチクショー!「何だ 勝負だって この野郎。

「おっかあ おっかあおっかあ おっかあ!ほら 隣で吉公のケンカが始まった。 ケガするから おい!ちょっと ちょっと おい!大家さ~ん! 吉公んとこでケンカが始まったんですよ。 止めて下さい! 大家さ~ん!長屋の壁は薄いからねケンカするってえとドタンバタン 品物 落っこってきて手がつけらんねえんですよ。 そんな感心して見てないでさケンカを止めるか長屋の壁 厚くするかどっちかにして」。 ええ?この野郎と しゃべってっとケンカになっちゃうんだよ。

ただの一度だって遅れた事あるか?これだけ 義理を果たしてんのにてめえの方は 何だ?盆が来ようが 正月が来ようが半紙一枚 鼻っ紙一枚持ってきた事ねえだろこの しみったれ野郎!」。 いきなり ポカッと来やがって後手 くらっちゃって俺 ケンカ 負けた事ねえんだから本当に…。 ケンカするなら聞かせておくれよ 本当に。 ばあさんと こないだケンカだ ケンカだってえからこりゃ 金太郎がやってんじゃねえかと思って表へ飛び出したら訳の分からない2人がにらみ合ってね ただただ毒づいてるだけなんだ。

「今 何か言ったか?財布を拾った?このバカ野郎!何だって そんなもの拾うんだよ。 中 あらためたらね3両 出てきていい働きしてんなと思って書付けに印形神田竪大工町 大工の吉五郎って書いてあらあそりゃ 届けに行くのは当たり前でしょ」。 「それが喜ばねえ野郎なんですよ。 「キザな野郎」。 『もらわねえって この野郎ただ置かねえぞ』っつうんですよ」。 「面白え野郎だな お前」。

どこの大家も変わらねえんだな」。 ええ?大家の顔は どうなるんだ?店子が 脇でもって恥をかいてきたんだ。 その大家の顔はどうしてくれる?」。 「だから向こうの大家の顔は立ったから帰ってきたんだ」。 「向こうの大家はどうでもいいんだよ。 そこの大家の顔は一体 どうしてくれる?」。 「うちの大家はん?おまはんの事?顔を立てなくちゃいけま…」。 かかりますってえとゾロゾロ ゾロゾロ ゾロゾロお白洲の砂利へ座りますな。 「し~!」という警蹕の声と共にご存じ 南町奉行 大岡越前守様が縁先間近にお着座になります。

これ 金太郎 面を上げい。 「じゃあ 伺いますけどねその3両は拾ったらそのままネコババしてしまえば騒動が持ち上がんなくていいってそう おっしゃるんですか?出世をするような災難に遭いたくねえと思えばこそ毎朝 金比羅様に手ぇ上げて拝んで…」。 どうじゃ 吉五郎 その3両越前が預かりおこうと思うがこの儀は どうじゃ?」。 町内に このような者が出たというのは お奉行様誉れ高い話でございます。 金太郎が届けしよりそのまま もらいおかば3両。 金太郎もまたそのまま受け取りおかば3両。