心と脳の白熱教室 第4回「あなたの性格は変えられるか」

戻る
【スポンサーリンク】

この番組のまとめ

うつ病や不安障害また 楽観主義において遺伝子が果たす役割に注目します。 楽観主義や悲観主義は先天的なのか?それとも 生まれたあとの経験に左右されるのか?人は 変わる事ができるのでしょうか?ダニエルは 恐らく そのころ自分の周りにいた人たちから起業家としての基礎となる見識や スキルについて手ほどきを受けていたのでしょう。

楽観主義と悲観主義に関して私の研究を理解するうえで覚えて頂きたいのは遺伝子の中には いくつかの差異が存在するという事だけです。 このセロトニンを運ぶ 運搬遺伝子はその長さによって働きが違ってきます。 両親それぞれから遺伝子を1つずつ受け継ぐため両方 長い型の遺伝子を持っている人一方短い型の方はネガティブな情報に反応しやすいとされています。 私たちが これらに着目するのは多くの遺伝子はそれが短いか 長いかで脳内化学物質の影響に違いが出るからです。

重大な疑問は セロトニン運搬遺伝子が短い被験者は 仮説どおりに実際に 高い うつ病発症のリスクを持つのかという事でした。 短い型の遺伝子を持つ人でも発症リスクが上昇するのはかなり深刻な経験をした場合だけでした。 セロトニン運搬遺伝子だけが悲観主義と楽観主義に関係あるのですか?セロトニン系に直接 影響を与える遺伝子は15から20種類ある事が分かっています。

そういう遺伝子は「リスク遺伝子」ではなく「柔軟性遺伝子」 あるいは「良くも悪くもなる遺伝子」と言うべきだという事です。 つまり リスク遺伝子は蘭のようなものでより環境に左右される柔軟性遺伝子あるいは 良くも悪くもなる遺伝子だと思われるのです。 まず 子供の親の養育能力を親自身 子供 臨床医更に オブザーバーとなる専門家にそれぞれ評価してもらい子供の養育環境の善しあしとセロトニン運搬遺伝子の特徴との関係を見ました。

分析の結果遺伝子の型の短い人たちは実際に訓練を経て 負のバイアスがより短期間で高まりました。 数年前俳優のマイケル・J・フォックスに関するドキュメンタリー制作に協力しました。 楽観主義についてのドキュメンタリーで私は その科学的な部分に関わりました。 マイケル・J・フォックスは 20代の頃ハリウッドのトップスターであった事はご存じですね。 このドキュメンタリーを作った理由はつらい状況においてもなぜ自分が 決して落胆する事がなかったのかしかし 自分の結果を見て驚いていました。

彼は うまく役を演じ本当に強迫性障害を持っていたかのように行動していました。 ところが 撮影の終わる頃には本当に 強迫性障害の症状が出たのです。 撮影前と撮影中のほぼ1年間にわたって重度の強迫性障害の患者を演じていました。 つまり 強迫性障害になるよう自分の脳を訓練していたんですね。 そうやって ディカプリオは強迫性障害を克服しました。 ロンドンのユニバーシティーカレッジの心理学者 エレノア・マグワイアが何年か前にとても有名な研究を行いました。 ロンドンのタクシー運転手を対象とした研究でした。

彼らの空間記憶力は驚異的なのです。 だから エレノア・マグワイアはこれは 訓練が海馬に与える影響を測定するすばらしい方法だと思ったのです。 もちろん 元から大きな海馬を持っている人が空間記憶力に優れていてだから タクシーの運転手になっただけではないかとも考えられます。 マインドフルネスは皆さん ご存じかもしれませんね。 すぐそこのオックスフォード マインドフルネスセンターでも多くの研究が行われており私も共同研究しています。