熱力学第2法則によって絶え間なくエントロピーは増大し続けます。 ロンゴは 体内のエントロピーを減少させるため細胞内で 活発な働きをしている小さな器官に注目しました。 私たちの体の細胞全てに「ミトコンドリア」と呼ばれる小さなエンジンがあります。 ミトコンドリアの役割は人体へのエネルギー供給です。 エンジンや発電所に例えられるミトコンドリアの機能が低下すると私たちの体は衰え 老い始めます。 一つの細胞内に 数百ものミトコンドリアが含まれています。
哺乳類の細胞内で うまく働く微生物を発見できればその技術は 中年世代から70代くらいの人まで幅広く適用できると思います。 このように自然界に存在するものに新たな機能を与える事で人体を健康に保つバイオロボットを作る事ができるかもしれません。 問題は バイオロボットに適切な機能を与えその働きを状況に応じてコントロールする事が可能かどうかです。 バイオロボットが 人体の内部をパトロールし異常を発見するとすぐに治療を行うシステムがいずれ実現するかもしれません。
そのためには 人間の体全体を確実に冷凍保存できる技術が必要です。 一方 人間の本質を変えるような方法で永遠の命を獲得する手段もありそうです。 神経科学者のオラフ・スポーンズは複雑に絡み合った 脳の仕組みを解明しようとしています。 スポーンズが目指しているのは脳内の神経回路の接続状況を表した「コネクトーム」を作る事です。 いわば 脳全体の配線図でそれぞれの領域が どのように接続しているかが分かります。 このような交差点が一時的にでも通れなくなれば都市全体の機能が麻痺してしまいます。
この考えに基づきジョン・コンウェイという数学者が1970年にコンピュータープログラムを駆使して人工生命体をつくり出そうとしました。 量子コンピューターは 量子力学の原理を応用した 未来の技術です。 現在のコンピューターとは比較にならない処理速度が実現できます。 量子コンピューターは原子を用いて計算をします。 同じように量子コンピューターの中では一つの領域に複数の状態が示されます。 この技術を発達させれば量子コンピューターの能力は無限に近いものになるでしょう。