ある老夫婦が隅田川の川辺にたたずんでねこう夕陽が沈むのを見てたんやて。 夕陽が沈んだあと奥様が 隅田川に向かってこない 言うてん。 春日大社の 春日さん所だけは絶対 寄付を募りに行ったらいかんちゅうて。 「ハア～ ハア〜お前はん所のお父っつぁんの善兵衛さん八百善さんて言うて 立派な八百屋やったな。 ええ？『あそこの野菜 食うと長生きできる白菜担ぎ 棒手振りから始めようかいなと思います。
あの徳力屋め恩も義理も忘れやがってそんな仕打ちをしよったか。 私らには 何にもでけへんけどなあの お奉行さんなら徳力屋を懲らしめてくれる。 「お～ 松屋表町 源兵衛店作次郎 出ておるな？」。 差し出されたる願面によれば過日 同町内徳力屋万右衛門宅において面体を 打擲されたとあるがそれに相違ないか？」。 徳力屋万右衛門面を上げぃ。 お～ そうじゃ 徳力屋その方も関わり合いじゃ。 作次郎 その方 毎日 １文ずつ徳力屋に持参を致せ。 徳力屋。
電車の中で汗 かいたんでねで ハンカチで拭こうと思てハンカチ 出したら百円玉が コロコロコロ～ッ。 「ありがとう」て 手 出したらその百円玉自分の ポケットに スッとこう 入れまんねん。 先方が 文句を言うたら『あとで 奉行所へ持ってこい』と言われてますのでちゅうてな半紙に書いてもろて判を押してもろてきなはれ」。 徳力屋自ら町役五人組 打ちそろえて持って参れ』とこんな事 言うてまっせ」。
「エエ～ッ？ ほな なにか？今日は 明日の朝やのうて今 ひょっと目が覚めたら 真っ暗やろ？『あっ こらぁ 寝過ごした』思てびっくりして 飛んできてん。 ハ～ン 徳力屋 今 ちょうど店 閉めよったとこやな。 奉行所 奉行所 言うたら怖がると思てけつかる。 奉行所も糞もあるかい。 お奉行所お役人さんでございますな。 「今 奉行所で評判 徳力屋１文づけの作次郎でござる」。 ほな 徳力屋が言うには『明日の分は明日 受け取るさかい明日 持ってこい』とこう 怒鳴るんでね私 言うたった。
「何？『奉行所も 糞もあるか』？それは まことか？」。 『お奉行所へ届ける大事な１文やさかいに１日も早いこと 届けんならんので持ってきた』？ハハ～ そらぁ嫌がらせに来よった。 こら～っ 奉行所 奉行所 言うたら怖がると思てけつかんのか。 奉行所も 糞もあるかいこの どあほめが」。 その方奉行所を愚弄致す気か？」。 エエ～ッ？ 十両？徳力屋はんが十両 出しとくんなさる？ええっ？ それで全て 水に 流す？アア～ッ もう それだけで十分。