日曜美術館「風景の叙情詩人 広重の“東海道五十三次”」

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この番組のまとめ

♪~厳かな大名行列。 今回 この長きにわたって「東海道五十三次」が 多くの人々に愛されてきた その秘密というかその魅力というものを今日は 徹底的に検証していきたいなと思います。 ところで 「下に 下に」って大名行列に付き物で「土下座するように」っていう掛け声なんだけどこれを言えるのは 本当は徳川御三家だけなんだって。 大名行列の全体を見渡せる絵がこの「岡崎」。 これは ちょっと珍しいフィルムでまだ ダムも ほとんどなく水量豊富だった頃に写した江戸時代さながらの川越しの様子だよ。

長年 広重を中心に 浮世絵の風景画を研究されている大久保純一さんです。 なぜ そこまで当時の人は「東海道五十三次」のシリーズに引き寄せられたんでしょうかね?東海道というのは当時の江戸の人たちにとって旅の憧れの一番関心の高い所ですね。 例えば 十返舎一九の「膝栗毛」がベストセラーになりますね。 あれは 東海道をテーマにしてます。

これは 鈴鹿峠の阪之下という宿を描いてるんですけどもいかにも広重が ここに行ったかのように思わせるんですけども実は これは「東海道名所図会」の挿絵を元に描いてます。 名所の風景を非常に細かく伝えるというのがこの挿絵の使命ですのでちょっと高い所から見下ろして描くんですね。 これですと ただあまり臨場感はありませんので広重は低い視点から風景を見るように頭の中で ちょっと操作するんですね。 広重が伸び伸びとした筆遣いと温かいまなざしで描き出す江戸の庶民の姿をご覧下さい。

まさか こんなに表情豊かな当時の人々と対面できるとはという新鮮な驚きがありました。 非常に 表情豊かでちょっとくすっと笑ってしまうような親しみの持てる表情を持つ人物があちこちに出てきますね。 当時 上方の方から広まってきた戯画の描き方で顔のシンプルな描き方とか手を ちょっと広げたこういった ぎこちない感じの動き方なんていうのは鳥羽絵の画風を 彼なりに昇華したんじゃないかというふうに考えられてます。