♪~「NHK俳句」司会の岸本葉子です。 そして 今日は ゲストに農学博士で黴博士として おなじみの浜田信夫さんをお招きしました。 浜田さんは黴の生態をご研究で日本だけでなく世界の黴も収集なさっています。 ただ 植物と違うところは植物の場合には葉緑体といって要するに 光が当たったら自分で自活できるんですよ。 …で 発酵食品も黴の働きの一つなので今回 投句にとても 発酵食品の句が多かったんですが季語の「黴」というのはそれとは ちょっと違いやっぱり 今の夏の季語であるという事を最初に説明しますね。
チェックアウトして車に乗った途端に「黴 すごかったね」っていう話になったんでしょうね。 今回は 軍服の句も多くて大抵の句は 過去のものを詠んだ静かな印象だったんですがこの句は実際の靴音が聞こえてきそうな生々しさが特徴です。 ハミングしながら 家族の誰かが黴掃除を お風呂か何かで始めたのだけれどもすぐに聞こえなくなった。 「ヤマボウシ」でなくても成り立つんではないかとかよく 言いますけれど作者にとってそれが「ヤマボウシ」だったのならばそれで十分に 季語は動かないと私は思います。
以上が入選句でした。 それでは ここから本日の入選句を振り返って浜田さんが 一番 お好きな句を伺いたいと思います。 こちらの九句が本日の入選句です。 そもそも「糸底」って どの部分を…?陶器の要するに 裏っ側の部分という。 …で その陶器の場合には割と よく生えるのは青黴なんですよ。 そうなると やっぱり陶器の色と 黴の色がだんだん 一体化して一つの景色になっていくんじゃないのかなと思って。 黴をめでているところが黴愛の浜田黴博士としてはとても ひかれる…。
これが ほとんどクロコウジカビという黴ですね。 これは クモノスカビですね。 これはですね洞窟の… 洞窟というか鍾乳洞ですね鍾乳洞の中に コウモリがいっぱい いるんですけどコウモリのフンが好きな黴なんですね。 …で 4つのポイントに分けてこの句を鑑賞してみたいんですが一つは表記のもたらす豪華さです。 「靡く 黴天鵞絨」といういずれも 画数の多い漢字が表記的にも美しくて豪華です。 2つ目は 「天鵞絨」という比喩。