日本の話芸 三遊亭遊三 落語「抜け雀」

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この番組のまとめ

相手が金を持ってるなと思うと法外な値段を吹っかけたりそうかと思うと金品を巻き上げたりまた 相手が女性だと悪いいたずらをしたりそれは もう街道筋の嫌われもんでございます。 「お泊まり様ではございませんか?もし お客様みかわ屋でございます」。 「お客様 お泊まり様ではございませんか?手前ども たま屋でございます」。 そんな中を 年頃 27~28のお侍黒羽二重の五所紋付きというとまあ 体裁は いいんですがこの黒羽二重の紋付きがもう 脂で すっかり汚れて日に焼けて 赤くなっております。

結構でございます』ってそう言ったんだから」。 うちはね酒屋は現金でございましてもう貧乏ですから お立て替えするお金はございませんので「うん 言いたくない事は言わない方がよいぞ」。 「それでは 話になりませんで実は 手前ども 酒屋の方が現金になっておりまして「大きいんでも結構でございますが」。 襖とか屏風 こういうものに絵を描く 絵描きだ」。 これがね 大工とか左官屋ならうちも だいぶ傷んでますからね方々 直して頂いて宿賃と棒に引くって事はありますが」。

ったく 文無しのくせに冗談じゃないよ。 ええ?じ~っと 衝立をにらんでおりましたが一つ うなずくと…。 ええ?5羽で5両?冗談言っちゃいけませんよ。 ん? 俺はな宿賃の担保にお前に預けておく。 あ~ 帰りに必ず立ち寄って宿賃は支払う。 大きいんでも結構でございますつったら大きいのもないってんで衝立に 雀 描いて行っちゃった」。 「ったく まあ 冗談じゃないよ。 お前一人でやっとくれ」。

うちへね文無しが泊まったんですがねその宿賃の担保に衝立にね雀を描いてもらったんですが私がね 雨戸を開けるってえとね朝の光が サ~ッとさし込んで 途端に雀がチュンチュン チュンチュンってんでね抜け出しまして。 しばらくたつとね その雀がチュンチュン チュンチュンってんで戻ってきて 衝立にピタリと収まったんですよ」。 小田原の城主 大久保加賀守様の耳に入りまして。 亭主 この衝立を千両で買い上げるが どうだ?」。

「あら お前さんも名人でいらっしゃいますか。 「うん 雀といい 鳥籠といいまこと 名人の作である。 これが大変な評判になりましてで もう それを見たいってんでお客が どんどん詰めかけましておかげさまで商売繁盛でございます。 で 大久保加賀守様がそれをご覧になりまして千両で買い上げると こうおっしゃったんでございます」。 ご老人のお侍が おいでになってこの衝立を見て『この絵には抜かりがある』とこう おっしゃる」。 トントン トントン トンッ!「これでございます」。 へえ~ 親子で名人でいらっしゃいますか。