日本の話芸 五街道雲助 落語「お初徳兵衛」

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この番組のまとめ

端は そう 言っておりましたようなもんの「金の切れ目が縁の切れ目」というやつ若旦那の金が無くなったなと思うてぇともう 手のひらを返したようになりまして花魁はもう 出て参りません。 「まあ~ 若旦那 花魁が気の毒じゃありませんかね。 『私のために 若旦那が勘当になった』ってんで朝から泣いてばかりいるんですよ。 しかたがないから 贔屓にした芸人の家の二階とか仕出し屋の二階 置き屋の二階と居候の廻しを取っているうちにもとより 大店の家で育った若旦那でございますから他人の袖にすがろうなんてぇ事は思いもつきません。

そこに居るのは若旦那じゃございませんかい? いや平野屋の若旦那じゃございませんかい?」。 私は 若旦那が勘当になったって聞いたんで船宿の二階に居候をする事になりましたがまた この居候というのも難しいものだそうでかえって 少し粗末に扱われるぐらいが居やすいと申します。 「若旦那が船頭に?ばかな事を言っちゃいけませんや。 若旦那の船頭の披露目でございます。 若旦那 一生懸命舟の稽古を致しましてまぁ 空の猪牙舟ならなんとか こなせるというぐらいにはなって参りました。

四万六千日さまというお暑い盛りでございます。 『四万六千日さまご参詣』?まあ~ 左様でございますか。 これから その四万六千日さまご参詣というんだがなにしろ この暑さでもって女の足もある事でなそれは ご運がよろしゅうございました。 四万六千日さまご参詣でご信心なこってございます」。

冗談を言い合っているうちに舟が 山谷掘の桟橋へと着きました。 ア〜ハハ いや いやえ~ 吉原へ他の芸者を連れていくのはこれは『鬢つけ』と申しまして『一人船頭 一人芸者』あ~ これはご法度として ある。 うん?いくらお前が男嫌いといっても相手は 名うての色男の船頭の徳兵衛だ。 これから 舟が また山谷掘から 大川へと出て参りましたけれども夏のことでございます一天 にわかにかき曇ったかなと思うてぇと大粒のやつがポツリ ポツリ ポツリ。

そりゃ 嫌な事も 辛い事もたくさんに ありましたが『いつかは 若旦那に会える』というのを楽しみに辛抱しとおしてようやっと 一本立ちをして『やれ うれしいこれで 若旦那に会う事ができる』と思った途端若旦那はご勘当という事を聞いてガッカリしてしまいました。 若旦那の行方は知れず私は籠の鳥で『もう会う事もできないのか』と気を落としているところへ若旦那が船頭になったという噂を聞きまして私はまさかと思いましたが朝に晩に お灯明を上げて聖天様に 願をかけて祈っていた甲斐がありました。