香月泰男の 「シベリアシリーズ」。 作家3人… 4人ですけれども4人の それぞれの人間関係としては共通点は ほとんどない。 ただ作品には 「黒」という事これは共通するものでその黒が いかにインパクトを持って表現されているかまた 沈黙の期間があるんですね。 それぞれ 香月にしても抑留体験から絵にするまでの沈黙の時間。 更に敗戦後 捕虜となった香月はシベリアに抑留され2年にわたる強制労働を強いられます。
こちらの「涅槃」は 「シベリアシリーズ」が始まって数年後に描かれた「シベリアシリーズ」の代表作の一つと言われてるんですけれどもこちらの「埋葬」と比べて頂いても一目瞭然のように同じ画家とは思えないぐらい色も スタイルも変わっている。
戦争が終わって すぐに原爆を描き始めようと思ったわけではなくて最初の頃は新しい平和な時代が来た自分たちは解放されたんだという喜びが 2人の中にはあったと思うんですね。 「原爆の図」っていうのは 1945年の8月の出来事であるけれどももうすぐ自分たちのところにやって来るかもしれない未来でもあるんじゃないか。 1950年 「原爆の図」が発表されると全国で展覧会が開かれ多くの日本人が 原爆がもたらした惨状を初めて知ります。