日曜美術館・選 特別アンコール「私と鳥獣戯画 手塚治虫」

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この番組のまとめ

これが その「鳥獣戯画」甲巻の実物大の複製なんですが幅が30センチ 約30センチですね長さ 随分長いものでして11メートル50センチあります。 で そのつなぎ目に「高山寺」という 赤いはんこが押されているわけなんですがこの 日本の絵巻には元来 「ことば書き」つまり 文章があるんですがこの「鳥獣戯画」には ありません。 この 「鳥獣戯画」甲巻について今日は 漫画家の手治虫さんにいろいろと話を伺います。

それではその3つの要素を考えながら「鳥獣戯画」甲巻を見てまいりたいと思うんですが。 ところが こういうふうに1本の線で ウサギの目が描かれるという こういう技法はそのころの絵巻物どころか海外の漫画にも ないんですね。 この「鳥獣戯画」にはアイデアの面白さと絵の面白さがあるんですがこのカエルが 自分が勝つためにウサギの耳をかんで負かそうとしてると。 また これはアイデアの面白さですけどカエルが お釈様の格好をして座ってますね。

この間も フランスで今 一番 人気の高い漫画家でメビウスという人がいるんですけどこれが 日本に来ましてね私 ある会場で 「鳥獣戯画」の一部を見せたわけです。 「信貴山縁起絵巻」は10世紀初めごろの聖命蓮にまつわる説話を絵巻にしたものです。 手さんは この「鳥獣戯画」の生まれた時代をどう ご覧になりますか?全く アマチュアの考えなんですがこの時代は つまり 仏画とかねあるいは能ですね 能師そのために 一般大衆に バッと広まった時代だと思うんです。

「鳥獣戯画」はじめ「伴大納言絵詞」とか「信貴山縁起絵巻」にはつまり庶民が 描かれてるわけですよ。 「源氏物語絵巻」が女絵と言われててこういったものが 男絵と言われてるそうなんですけどダイナミックさというか つまり絵そのものが 非常に力強くて活気にあふれてるんですね。 特に この「伴大納言絵詞」の中で子供のけんかの部分がクライマックスでありますね。 しかし先ほどの「信貴山縁起」でもかなり 謎の部分があるんですがこの「鳥獣戯画」にも随分 分からないところ謎の部分があるようですね。

僅かな違いですが実は 「鳥獣戯画」甲巻は2人の作家の共同作業によるものではないのか。 「鳥獣戯画」の作者についても今 ご紹介したようにいろんな説があるようですが手さんは どんな作者像をお持ちでらっしゃいますか?2人という説も まあ…確かに一つのあれがあるわけです。 そして それを つなげてそして つなげた上に今度は それをつなげたら1つの物語 出来てしまったんでそこに 例えば背景を 後で描き込んだりそれから 他の動物たちをまた 別に間に描き込んだりというような事もねあったんではないかと。

で これを みんな見てるわけなんですけどこの上のカエル2匹を 見比べてみて頂くと分かるんですがこれ 完全に描いた時間が違うんです。 この左のカエルの大きさとか プロポーション手の曲がり具合なんかも全然 違います。 模本ではね 最後にヘビが出てきてカエルが逃げるとこで終わってます。 そうなると 完全にこれは風刺画になるわけですね。 これは 面白い事に こういう動物の風刺っていうのは「イソップ」も もちろんありますしドイツとかね ヨーロッパに昔から動物談というのがあって特に 「狐物語」ってあるんですね。

例えば 「鳥獣戯画」の中にカエルが死にましてねで これが その当時の事件を風刺したものじゃないかと言われてるんですけどもしかしたらですねこれ 描いた人の周りにそういう市井の 三面記事的な事件あったかも分からないんですがそれは 事件にまでならないんですね。 それは 実際 手さんは漫画家でらっしゃるんですが実際 お描きになる場合はかなり 違うもんですか?僕たちも例えば 下描きをしましてねその下描きを鉛筆で とるわけなんですけど下描きをした時には非常に 鉛筆の線でスッと描ける線があるわけですよ。